食物繊維の豊富な食事が特定タイプの大腸がんリスクを低下させる機序として、腸内細菌が関与しているらしいとの研究結果が、「JAMA Oncology」オンライン版に1月26日掲載された。米ダナ・ファーバーがん研究所(ボストン)のShuji Ogino氏らの研究。
大腸に存在する腸内細菌の1種であるフゾバクテリウム属(Fusobacterium nucleatum)は、大腸がんに関連すると考えられている。今回の研究では、13万7,000人超の食生活を数十年にわたり追跡。そのうち1,000人超が大腸がんを発症し、その検体を調べた。
その結果、全粒穀物や食物線維の豊富な食事をしていた人では、F. nucleatumが検出される大腸がんのリスクは低かったが、この菌が検出されない大腸がんのリスクは低下していなかった。
Ogino氏は、「今回の研究では1種類の細菌しか扱わなかったが、腸内細菌は食生活と共同して特定の大腸がんのリスクを上下するという広範な現象を示唆している。この知見は、食事が消化管内の細菌に影響し、特定の大腸がんの発症リスクに影響しうるという説のエビデンスを増強する」と話す。
共著者の1人は、「長期的な食生活と腫瘍組織内の細菌の関連性を示すデータは、ヒトでは今回が初。これは過去の動物研究を裏づけるものであり、さらなる研究の必要性が高まった」と述べている。
(2017年2月17日 HealthDayNews)