東京大学は、がんや難病の患者の遺伝情報を基に、個人に最適な治療法を選択する「ゲノム医療」の臨床研究を始めると発表した。学内に新設した患者の遺伝子を解析するシークエンス室と同大病院などが連携し、ゲノム医療の基盤作りを進める。
がんは3月から肉腫と肺がんで解析を始め、順次、他のがんにも広げる。1年に数百人の患者についてがん細胞と正常細胞を解析。同大が構築予定のがん治療に関するデータベースを使い、効果的な治療薬を探す。その結果に基づき、医師やゲノム専門家らが話し合い、患者に治療方針を説明する。難病は、1年に600人の患者の遺伝子の遺伝情報を解析する。これまで確定できなかった患者の診断を確定できる可能性が高くなる。
がんと難病に関する解析結果は、日本医療研究開発機構が作る遺伝情報データベースに蓄積し、他の研究機関でも使えるようにすることを目指す。
(2017年2月15日 読売新聞)