本年1月から「セルフメディケーション税制」がスタートしました。
「セルフメディケーション」とは、WHO(世界保健機構)が「自分自身の健康に責任をもち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と定義しています。
そこで、新たに「セルフメディケーション税制」を導入し、指定されたお薬を薬局等で購入すれば、所得控除される仕組みのことです。この事についての詳細は、くすりの話の1月号でもご紹介しています。
さて、「自分の健康は自分で守る」ことについては大いに結構なことですが、一方で、誰にも相談せずに自分勝手に薬を購入すれば、薬の相互作用などによる有害事象が多発する可能性も否定できませんので十分な注意が必要です。
薬の相互作用とは、いわゆる「薬の飲み合わせ」の事で、それぞれ単独で服用する場合は問題なくても、同時に服用することによって作用が強くなって副作用が発生しやすくなったり、薬の作用が弱くなって効き目が悪くなったりする事です。
特に、最近では医療用医薬品と同じ成分の一般用医薬品がたくさん販売されているため、知らないうちに同じ成分の薬を重複して服用してしまっていることも考えられます。
このような相互作用を早く発見したり、事前に防ぐためには、どうすれば良いのでしょうか?
それには、お薬を購入する時は、セルフメディケーションとは言え、医療機関からもらっている薬の有無や服用している一般薬、健康食品の有無を薬剤師に伝えて、相互作用についてチェックしてもらってから購入することや、受診するときには自分で買って服用している一般薬、健康食品の有無や他の医療機関でもらっている薬の有無を担当医師に伝えることが大切です。
とはいっても、特に高齢者では全てを覚えているのも困難な場合が多いと思われます。
それではもっと簡単な良い方法はないでしょうか?
それは、「お薬手帳」の活用です。
「お薬手帳」は、それぞれの医療機関でもらっているお薬をひとまとめにすることによって、医師や薬剤師が薬の相互作用や重複服用の有無をチェックするためにも利用していますが、自分がお薬を購入するときに薬剤師に「お薬手帳」を見せて、自分が購入しようとするお薬が、今服用しているお薬と一緒に飲んで良いかどうかの確認をしたり、購入したお薬の名前を「お薬手帳」に自分で記載しておいて、受診時に「お薬手帳」を医師や薬剤師に見せることによって、相互作用などのチェックをして頂くと安心と思われます。
また、場合によっては気になったちょっとした自分の体調の変化や血圧測定結果などを「お薬手帳」に記載しておくと、受診時に医師が確認したときに診察の手助けになることもあります。
「お薬手帳」は、工夫次第では使い方が広がっていきますので、せっかくの「お薬手帳」を最大限に活用できるように工夫されることをお勧めします。