糖尿病治療においては、いかに合併症(糖尿病性網膜症、腎症、神経障害など)を予防するかということが重要になります。
最近、イチゴに含まれる成分のひとつが糖尿病合併症に有効であることが示唆される興味深い発表がありましたのでご紹介いたします。
その成分は、「フィセチン」というもので、これまでにも抗酸化作用、記憶力の増強、神経細胞死の保護作用が報告されています。
このフィセチンが、アメリカのソーク研究所の最近の研究で、Ⅰ型糖尿病モデルマウスに対して様々な糖尿病合併症に有効であるという発表を行っています。
Ⅰ型糖尿病モデルマウスをフィセチン摂取群と非摂取群に分けて検討した結果、血中グルコースおよびグリコヘモグロビン(HbA1c)の値では有意差は見られませんでしたが、神経障害と不安障害において改善が見られました。
さらに炎症反応も顕著に改善することがわかりました。
また、近年ではメチルグリオキサール(MG)は、5年後の糖尿病性血管障害の進展を予測できるパラメーターとして知られるようになってきましたが、Ⅰ型糖尿病モデルマウスでMG量をフィセチン摂取によって低下させることが出来ました。
フィセチンは、イチゴ以外にもキウイ、桃、柿などの果物にも含まれていますが、イチゴが他の果物より5倍以上も多く含んでいます。
動物実験に用いた投与量をそのままヒトにあてはめることは出来ませんが、実験に用いたフィセチン量は、ヒトに換算して十数個分で、極端に多い量ではありません。
なお、この度の「くすりの話」は、あくまでもイチゴの新たな機能性をご紹介したものであり、
糖尿病治療をされている方にイチゴを推奨しているものではありません。
果物には糖分も多く含まれていますので、糖尿病治療をされている方は、自分に適した果物の量を必ず医師や管理栄養士に確認し、指導された摂食量を守って下さいね!
(参考;日本薬学会 ファルマシア2月号)
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