日本では、ワクチンの接種率が低いうえに、耐性菌による感染症の重症化が問題視されています。特に、小児科領域では外来患者の7割が感染症であり、そのうち8割が呼吸器由来の感染症であるといわれています。
小児呼吸器感染症の治療が難渋すると命に危険が及ぶ事もありますので慎重に治療しなければなりません。
小児に呼吸器感染症が多い理由として、小児は成人に比べて、
①気道が狭いため、分泌液がわずかにたまっただけでも狭窄症状(ヒューヒュー、ゼーゼー)をおこしやすい
②咳をする力が弱く、痰の排泄が不十分
③口呼吸が確立しておらず、鼻汁がたまると呼吸困難をおこしやすい
④呼吸中枢が未発達である
⑤免疫力が弱い
などが挙げられます。
呼吸器感染症の治療の基本は、薬物療法として病原微生物の同定、または推定を的確に行い、適切な抗菌薬を選択して投与することです。
小児の咽頭炎・扁桃炎をきたす臨床上問題となる主な病原菌は溶連菌です。
溶連菌感染症には、ペニシリン系やセフェム系の抗生物質が有効ですが、
ここで注意しなければならないのは、医師の指示どおりに服用することです。
患者側の勝手な判断で服用方法を変えないことが原則となります。
例えば、3日間服用すべき抗菌剤を1日にまとめて服用させたり、症状が落ち着いたからすぐに服用を中止したり、逆に必要以上に薬を継続して服用すると、耐性菌の出現に繋がります。
一旦、耐性菌が出現すると、次回以降の感染症に、本来効果を示すべき抗菌剤が効かないという結果になり、治療に手こずることになります。
特に、小児に対する抗菌剤の使用は、医師・薬剤師の指導を守る事が小児感染症を早く治すためになにより大切なことです。