国内の不眠治療薬でよく使用されているのがベンゾジアゼピン系睡眠剤です。この薬は、入眠時のリラックス作用や抗不安作用などをもたらす効果があり、薬が身体に合えば非常によく効く薬です。
一方、鎮静作用を利用して、半ば強制的に眠らせていますので、ふらつきや常習性などの副作用も見逃せません。
このような睡眠剤を服用している方へのアンケートでは、睡眠薬を服用していることに不安を感じている方も少なくないようです。
しかし、最近の睡眠剤は非常に安全で、副作用も少なくなっていますので、必要な場合には不安がらずに服用してしっかり睡眠をとることが重要です。
最近、不眠は「高血圧症」や「糖尿病」、「脂質異常症」などの生活習慣病のほか、「逆流性食道炎」など様々な疾患のリスク要因になると考えられるようになりました。
不眠の原因も様々で、何らかの不安を抱えて眠れないという場合が最も多いようですが、眠れないという方への問診によれば、実は「日中に眠くなり昼寝をしている」という方も少なくありません。いわゆる「昼夜逆転」が原因となっている方です。
前者の場合、即効性が期待できる従来の睡眠剤が有効ですが、後者の「昼夜逆転タイプ」の不眠に対しては、本年7月に武田薬品工業から発売された「ロゼレム」が有効かも知れません。
「ロゼレム」は、脳の松果体からメラトニンを分泌させて、体内時計の乱れを改善させるお薬です。
メラトニンは眠りを誘発する物質で、日中はほとんど分泌されず、夕方からだんだんと分泌されるようになり、体内時計のリズムにかかわっています。
国内では、「メラトニン」の使用は認められていませんが、海外では「時差ぼけ」などに対してサプリメントとして「メラトニン」を服用する場合も珍しくありません。