アトピー性皮膚炎、おむつかぶれ、日焼け、接触皮膚炎、帯状疱疹、
軽度なやけど・・・などに対して、比較的副作用が少ない安全な外用
医薬品として約30年以上も前から使用されてきた、非ステロイド性の
抗炎症薬「ブフェキサマク製剤(商品名;アンダーム、ルブラゾン、
エンチマック、デルキサム、サリベドール、アンホリル)」について、
販売している各メーカーより自主的に販売を中止すると報告が
ありました。
ブフェキサマク製剤は、国内では2005年に接触皮膚炎が全身に
広がって治療を必要とする症例が報告され、重大な副作用として
注意を呼びかけていました。
ところが、本年に入って、欧州医薬品庁が「接触皮膚炎に関する
リスクが治療上の便益を上回る」、「アトピー性皮膚炎などの症状
をかえって悪化させる場合がある」との調査報告をまとめ、
欧州全域では、同剤の販売を中止するように勧告を行ったことを
うけて、国内では自主的に販売中止に踏み切りました。
それにしても30年以上も前から、比較的安全な医薬品として使用
されてきた製剤が、どうして今さら・・と思わずにはいられません。
いくら安全といわれていても、時が経過するにつれてわかってくる
こともあるのだと、改めて考えさせられる出来事でした。
いま健康食品の分野でも盛んにとりだたされているエビデンス
(科学的根拠)という点では、ブフェキサマク製剤は医療用医薬品
として厚生労働省が許可している製剤ですので、当然ではあります
が、二重盲検試験などにより有効性や安全性が確認されています。
さらには市販後調査で副作用の有無を常にチェックされてきたもの
です。それにもかかわらず発売後約30年も経過してから自主販売
中止となったのですから、医薬品はエビデンスがあるから安心だと
いうような短絡的な考えだけではいけないことを思い知らされる
事例であったと思います。