皆様ご存知のとおり、イレッサは、「手術が出来ないまたは再発した、非小細胞肺がん」を対象として承認されています。
作用機序は、非小細胞肺がんの表面にEGFRと呼ばれるタンパク質がたくさん発現していることが多く、このタンパク質から信号が伝わって細胞が増殖することが考えられており、イレッサはこのEGFRからの信号の伝達を止めることによってがん細胞の増殖を抑えます。即ち、直接がん細胞を攻撃するものではありません。
EGFRから信号の伝達があると、がん細胞の増殖、血管新生促進、転移の誘導、アポトーシスの抑制が起こりますが、イレッサの使用によりがん細胞の増殖の抑制、血管新生促進の抑制、転移の誘導の抑制、アポトーシスの誘導へと導きます。
このようにイレッサは、効果が期待できる非常にユニークな作用機序を有する医薬品ですが、一方で副作用や相互作用など注意も必要です。
もっとも重大な副作用は、急性肺障害、間質性肺炎ですが、これらの副作用は初期に現れる事が多いので、発熱・息切れ・呼吸障害・咳などの症状が現れた時は、直ちに主治医に相談して下さい。また、服用中は定期的に検診を受けて副作用のチェックを行うことが大切です。
その他、下痢などの胃腸障害、肝機能障害、血尿などの副作用も報告されています。
また、グレープフルーツジュースでこのおくすりを服用すると、お薬の作用が強くなり副作用が現れやすくなりますので、グレープフルーツジュースでも服用は避けてください。
ところで最近、イレッサが自分に効果が現れるかどうかについて、EGFR遺伝子変異が陽性か陰性かをチェックすることにより、ある程度予想できるようになって来ました。
即ち、腫瘍細胞におけるEGFR遺伝子の変異とイレッサの効果がよく相関していることがわかり、EGFR遺伝子変異陽性例におけるイレッサの奏功率は約80%といわれています。