病は「気」からといわれますが、病気の中で「気」の影響は計り知れないものがあると言われています。一言で「気」といっても、その定義は広いですが、ここでは「精神的要素」の狭義の意味として考えます。
新薬の開発を行うときに、「気」の影響を除くために、プラセボという乳糖などの全く薬の効果の無いもので本物の薬と同じような形に仕上げたものと比較試験を行います。
例えば、プラセボを頭痛の患者に飲ませると、半数程度の方が治ることもあります。これをプラセボ効果と呼んでいます。
そこで医薬品の効果を評価する場合にはプラセボ群に比べて、どれだけ有効性が高いかということが基準に考えられます。
それでは、治療において精神的要素の効果は、全く意味の無いことでしょうか。
主治医が、これはよく効くお薬ですよと言って渡してくれたとき、思いのほかよく効いたという経験はないでしょうか?このような場合、患者の精神的要素が大きく働いています。
あるいは、様々な臨床現場においても、主治医のたった一言が、勇気付けられたり、落ち込んだりしたという経験は無いでしょうか。 主治医のちょっとした一言が、「気」に影響を与え、病気の回復を早めることもあります。
このように病気の治療においては、「気」の要素が大きく左右します。 さて、がん患者さんに対する補完代替医療を考えるとき、やはり「気」の持ち方によっても結果が異なることをよく耳にします。
例えば、「この健康食品は大丈夫だろうか?」と、不安をもって使用するのと、「先生が勧めているものだから頑張って使っていこう」と前向きに使用するのとでは、結果も大きく違ってくるという印象を当社顧問医師はもっていると言います。 (但、健康食品を選ぶ前提条件としては、その健康食品の基礎研究がどの程度されているか、学会発表や論文掲載などがされているのか、医師が使用している実績のあるものかなど、最低限のことを調べる必要があり、販売会社との信頼関係も無視できません。)
さらには、主治医の励ましや家族の協力、アロマテラピーや音楽などのリラクゼーション等々も「気」に影響を与えます。 同じ治療するのなら、「気」をマイナスに働かせるのではなく、プラスに働かせることによって無限に可能性は広がることでしょう。
がん患者さんに対する補完代替医療を考える場合、患者さんにとって都合のよいようにプラスのイメージをもち、患者さんにとって苦痛ではなく気持ちの落ち着く、気持ちのよい治療が大切と鹿島田医師もおっしゃっています。
筆者は、補完代替医療に取り組む医師と接する中で、健康食品をがん患者さんに対する補完代替医療として使用する場合、医薬品と同じレベルでエビデンスを求めることも大切ですが、一方で患者さんとそのご家族など周りの方を含めて、どのようにしてプラスの「気」を持ち続けられるかということが、非常に大切なように思います。