今回は、「くすりの話」というより、「健康のお話」です。
「メタボリック症候群も良いことだってあるかも知れない?!」って、どういう事?と思われるかもしれませんが、「米国疫学雑誌」2006年12月1日号によれば、ミネソタ大学のグループが、メタボリック症候群の定義として、米国の学会等の診断基準を使い追跡調査したところ、メタボリック症候群があるグループの前立腺がん発生率は、ないグループの0.77倍と低く、また、糖尿病があるグループの発生率も、ないグループの0.73倍と低い傾向にあったとのことです。
メタボリック症候群と前立腺がんを結びつけるメカニズムとして、男性ホルモンのテストステロンの関わりを仮説として提唱しています。
メタボリック症候群の男性ではテストステロンの血中濃度が低いことを示すデータや、反対に、テストストロンの血中濃度が低い男性では将来メタボリック症候群になるリスクが高いことを示すデータが あるため、メタボリック症候群によってテストステロンのレベルが下がり、その結果として前立腺がんのリスクが下がるという仮説をたてたようです。
ここまでなら、もしかするとメタボリック症候群は、前立腺がんのリスク低下につながるかも知れないと喜んでいる方もいるかも知れませんが、そんなに単純に考えることは出来ません。
著者らによると、メタボリック症候群と前立腺がんの関係を調べた先行の研究は、2004年に報告されたフィンランドの研究1件しかないが、この研究では、メタボリック症候群のほうが前立腺がんの リスクが1.9倍高く、今回の論文とは反対の結果であったことから、メタボリック症候群が前立腺がんリスク低下の「指標(マーカー)になることが示唆された」という、慎重な表現をしています。
そもそもメタボリック症候群の診断基準が各国異なることと、今までに文献が2件しかない事を考えると、やはり太りすぎは健康によくないと考えた方が自然なように思います。
メタボリック症候群の方にとっては、期待だけさせて申し訳ございませんが、結論は、適度な運動、バランスの良い食事によって、適正な体重を維持することが健康維持には一番大切ということだと思います。
「メタボリック症候群も良いことだってあるかもし知れない」は、やはり、「かも知れない」の期待感で終わるのかな。・・・m(__)m
