「生薬(しょうやく)」という言葉をお聞きになったことがあると思います。
生薬とは、天然に存在する薬効を持つ産物から有効成分を精製することなく用いる医薬品の総称ですが、この生薬を経験則に従って組み合わせて処方したものが「漢方薬」となります。
天然素材から得られた成分をもとに医薬品が作られるケースも珍しくなく、皆様がご存知の最も古い例としては、ケシの果実の乳汁、即ちアヘンから得られたモルヒネがあります。
また、ヒポクラテスの時代から柳の木が解熱・鎮痛作用を持つことが知られ、19世紀にはサリチル酸が分離・精製されて解熱鎮痛剤として用いられていました。
しかし、サリチル酸には強い胃腸障害があったため、副作用を軽減するためにサリチル酸をアセチル化してアセチルサリチル酸という、アスピリン製剤が開発されました。
このようにして世界で始めて合成医薬品の誕生を見ました。
しかし、一方で天然素材から抽出した成分では、期待される効果が得られなくなることもよく経験されることで、おそらく天然素材の持っている複数の成分がお互いに補い合いながら効果を発揮し、体にも優しく働いているものと思われます。
これが、天然素材の特徴のひとつです。
私たちの身近には、健康に良い、あるいは病気を改善する効果が期待できる天然素材もたくさん存在し、そのもっとも身近なものが、私たちが毎日食べている食品です。
栄養学でも、「食と健康」という点に注目されるようになり、食品の一次機能として、ビタミンやミネラル、アミノ酸などのいわゆる栄養成分を中心に語られていましたが、最近では、生体防御・病気の予防や回復・老化予防など食品の機能に注目されています。
これらの食品の機能については食品の第三次機能といわれています。栄養学では、これら三次機能を臨床栄養学という分野で盛んに研究されています。
最近、健康食品で健康被害などの報道もあり、健康食品よりも医薬品の使用を考える方も見受けられますが、一連の健康食品の健康被害報道は、販売業者のモラルの欠如によるものです。
正しい情報をもとに、正しく使用すれば、体に優しく有効な場合が多いと考えます。
場合によっては、むしろ医薬品のほうが副作用が強く、体にダメージを与えてしまうこともあります。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」で、バランスを考えながら、私たちの身近な天然素材、即ち「食品」を改めて見直していきたいものです。
