2015年12月に、「乳酸菌は偉い」というお話を致しました。
今回は、その続編で「やっぱり乳酸菌は偉かった!」をお伝えします。
乳酸菌の何がどのように偉いのか、知れば知るほど驚きを感じます。
まずは、糖尿病と乳酸菌との関係です。
と言われても、正直なところ私なんかは「血糖値のコントロールと乳酸菌は、
何が関係あるの?」と感じてしまいます。それもそのはず、糖尿病患者と腸内細菌叢との関係を調べた文献が発表されたのは、2012年以降のことです。
(それ以前にも報告があったかも知れませんが、見つけることが出来ていません)
研究結果を簡単に言えば、糖尿病患者の腸内細菌叢は、酪酸を産生する細菌数が減っているというものです。
この分野の研究は、まだまだこれからというところではありますが、今後、腸内細菌叢の特定の菌を目印として
糖尿病の診断をしたり、酪酸を産生する細菌数の減少を抑えることによって糖尿病を予防・治療する道が開ける
かも知れません。
実際に、「乳酸菌を摂取した方の血糖値が安定した」というお声を聞いたとき、自分では説明が出来ません
でしたが、もしかすると腸内細菌叢のバランスの改善により、インスリンの分泌低下が改善されたことによる
ものかも知れないと、今では何となく理解できつつあります。
次に、食品として摂取した「でんぷん」が、腸内細菌によって酪酸を産生し、炎症を抑制するT細胞の数を
増やして腸内の炎症を抑えていることや、普段の食生活の中で好き嫌いなく色々な食品を食べることにより、
腸内細菌の種類を増やすことが肥満を抑制するのに良さそうであることもわかってきました。
2014年に発表された論文によれば、私達の腸の中の細菌叢は、私達の
食べる食品とともにやってくる微生物によって想像以上に短期間で大きな
影響を受け、腸内細菌叢は、食事によっても大きく左右されることが
示されていますので、いわゆる善玉乳酸菌を、日常的にしっかりと
摂取することが健康維持に大切なことかも知れません。
また、2015年に発表された論文によれば、アイスクリームなどに
含まれる「乳化剤」が、腸の粘膜層を破壊し、大腸炎やメタボリック
シンドロームを引き起こしていることがわかっていますが、この腸内
粘膜層の破壊に腸内細菌が関与している可能性が指摘されています。
このようなことから、私達の健康を維持する上で、日常の食生活の改善が
何より重要であることを改めて考えさせられ、いわゆる善玉菌有意な
腸内細菌叢を維持することが重要であることを改めて感じさせられます。
腸内細菌叢と健康についての研究は、まだまだこれからというところではありますが、それだけに予想以上に
驚きの知見が報告される可能性もありますので、私達の健康を考える上で、「やっぱり乳酸菌は偉い」と言える
のではないでしょうか?