日本では、C型肝炎ウィルスを主原因とする肝臓がんの発生率が高い国の一つと言われており、肝臓がんの原因の約7割はC型肝炎ウィルスが原因だと言われています。
C型肝炎ウィルスの治療は、1990年代にインターフェロン治療の成績が徐々に向上してきたものの、副作用が強く出て、特に高齢者は治療を続けられないことも多く見受けられました。
しかし、近年はインターフェロンを使用しないで、内服で治療できる薬の開発が相次いで行われ、
体力のない高齢者でも治療を受けられるようになってきました。
その先駆けとなったのは、2015年に発売された「ハーボニー配合錠」という飲み薬ですが、この薬は非常に高価な薬であることや、偽薬が出回ったことなどでマスコミでも話題になったことは、まだ記憶に新しいところです。
C型肝炎ウィルスのこれらの新薬は、治癒率は90%を超えている一方で、C型肝炎ウィルスが
陰性になったことで、通院を止めてしまう患者さんが増加していることが問題となっています。
即ち、「ウィルスが消えた後に癌が見つかった」という患者さんが少なからず存在するということです。
肝臓は沈黙の臓器と言われるように、自覚症状が出たときには既に癌が進行している事があります。
画期的な薬を使用して治癒した後も、引き続き受診を継続することが大切です。
何故、肝炎が治っても肝臓がんのリスクがあるのかといえば、「長期間炎症を起こしていた肝臓組織が、線維化して硬くなってしまっているため、ウィルスがいなくなった後でも癌が発生しやすい状態にある」ということです。
ですから、「治った」と喜ぶ事は良いのですが、その後の継続した受診によるフォローが大切です。
併せて、肝臓がんに対して良いといわれているサプリメント(例えば、AHCC)や、組織の線維化を回復させる可能性のあるHSP(ヒートショックプロテイン)を誘導するサプリメント(例えば、アスパラガス抽出物含有食品)の摂取などで健康維持を心がけていく事も良いかもしれません。