グランヒル大阪の健康スマイル通信
  • ホーム
KEEP IN TOUCH

高齢患者さんに対する「ポリファーマシー(多剤処方)」を考える!~薬剤師の立場から~

9月08
2018
Written by admin
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

特に最近、高齢患者さんに対する多剤処方(以下、「ポリファーマシー」という)についての話題がマスコミでもよく取り上げられています。
それにはいくつかの理由がありますが、国の制度の問題や、医師や薬剤師の一人ひとりの認識の違いなども根底にあり、一方向からだけでなく多方面から課題を洗い出していく必要があると感じています。
 今回は、そもそもポリファーマシーの何が問題なのかについて考えたいと思います。
【ポリファーマシーの主な問題点】
(1)「ポリファーマシー」の明確な定義がないこと。
(2)医師や薬剤師の意識のバラつき
(3)国の制度の不備
などがあります。
まず、「ポリファーマシーの明確な定義がないこと」については、個人的には、定義が明確でないのに、それに対して議論されるほど無駄な議論はないと感じますので、早期にポリファーマシーの問題点を洗い出し、定義を明確にすべきと思います。
英国では、「10剤以上か、4~9剤で不適切な処方の可能性がある薬剤を1剤以上使用している」と定義されているのに対して、日本では、5~6種類以上の多剤処方で薬剤性の有害事象が生じやすいという報告から「6剤以上が目安」とされています。
中には、医師でさえも単純に「薬の数」を減らせばよいと考えている場合もありますが、単に数を減らせばよいと言うことではありません。
特に最近では「配合錠」と言って、1つの錠剤に2種類の成分が含まれているものが増えてきました。そのような「配合錠」を使用すれば、見た目の数が減っても、薬の成分の種類は全く変わらないことになります。
「ポリファーマシー」で大切なことは、薬の「数」ではなくて、相互作用や副作用=有害事象を減らす目的を達成し、不必要と考えられる成分を減らすことです。この認識を医師、薬剤師がしっかり持つことが大切です。
一方で、特に高齢者になると様々な体調不良が出てきます。
高血圧症や脂質異常症で循環器内科の受診、腰痛や骨粗鬆症で整形外科に受診、夜に眠れなくなって心療内科を受診、糖尿病の疑いで内分泌内科を受診、・・・等々というように、受診する医療機関が複数に存在し、医師のネットワークが構築されていないということも忘れてはなりません。これが国の制度の問題のひとつと考えます。もし、それぞれの患者さんに対して医師のネットワークが確立していて連携が取れていれば、「ポリファーマシー」の問題は、一気に解決するように思います。
もうひとつの国の制度の問題点は、薬剤師の評価です。今の薬剤師教育は6年生になり、以前と比べるとそれなりの評価はいただけるようになったものの、薬剤師から医師に処方内容について問い合わせるだけで
「激怒」する医師も少なくありません。
今は、「お薬手帳」の普及が進み、薬剤師は様々な医療機関での投薬情報を知ることが出来ますので、同じ作用の薬が重複している場合、処方元の医師に重複しているお薬の処方削除について提案しても、医師によっては受け入れしていただける場合もあれば、「薬剤師が医師に指示を出すな(指示しているわけでは無いのですが・・・)」や、「重複している他の医療機関の方を削除すればよい」、「そんなことは知っている」などと激怒される場合があり、そのままになってしまう場合もあります。
そのような現状で、医師と薬剤師が協力して一人の患者さんに対して「ポリファーマシー」に取り組んでいくことは、皆無に近いように思います。
もっと医師と薬剤師がお互いに医療の仲間として認め合い、理解し合うことも大切で、薬剤師も医師の期待に応えられるように勉強を重ねていく必要があるように感じます。
そうすればもっと「ポリファーマシー」の問題は解決されていくのではないでしょうか。
最後に忘れてはならないのが、残薬(飲み残し)によるムダです。
日本薬剤師会の調査によれば75歳以上の患者さんの残薬は、年間で約500億円もあるということです。
即ち、残薬チェックをして、残っているお薬を利用して処方すれば、年間で約500億円以上の医療費が削減できることになります。今でこそ国が残薬について取り組みをしていますが、このような残薬のムダの背景にも国の責任があると感じます。
即ち、皆様もご存知のとおり、日本はすばらしい皆保険制度がある一方で、老人医療の「負担金0」という時代が長期にわたって続いていました。その時代の高齢者たちは、保険を使って例えばシップをもらって、「自分はただでもらえるから・・」ということで、知人にもシップを渡したりしていた光景をよく見かけたものです。このような保険のムダ使いを国が長期にわたって放置していたつけが、残薬があっても平気で薬を捨てるという感覚が当たり前になるという結果をまねいていると思います。
薬剤師から医師へ気軽に提言できる風土つくりやポリファーマシーの問題も含めて、今課題になっている医療のほとんどの問題は、将来を考えず、目の前の事だけに対応している国の政策(制度)に問題があるように感じてならないのは私だけでしょうか。

Posted in くすりの話
SHARE THIS Twitter Facebook Delicious StumbleUpon E-mail
« 「統合医療機能性食品国際学会 第26回年会」に参加して
» 秋からが旬の「鮭」

Recent Posts

  • アスパラガス抽出物~ サルコペニア軽減の可能性について ~
  • 1年間で5kg以上の体重増加は要注意!
  • 日光浴の健康効果!~ミトコンドリアの機能を高め、糖尿病リスクを低下!~
  • 口腔の健康維持と血糖コントロールの関係!~ 口腔内健康維持の重要性 ~
  • 漢方薬のイロハ!

Categories

  • PQQ(ピロロキノリンキノン)
  • くすりの話
  • アスパラガス
  • イミダペプチド
  • フコイダン関連記事
  • 代替医療通信
  • 健康トピックス
  • 新聞記事・学会情報から
  • 未分類

Tags

30代 DHA EPA OTC βクリプトキサンチン うがい たんぱく質 みかん アトピー性皮膚炎 アルツハイマー インフルエンザ セルフメディケーション ダイエット ブロッコリー リスク ワクチン接種 予防 午前中 卵アレルギー 原因 市販薬 心の疲れ 心筋梗塞 春 治療 疼痛 痛み 眠り制御 睡眠不足 睡眠障害 糖尿病 血液サラサラ 遺伝子 酵素 風邪 魚

RSS Syndication

  • All posts
  • All comments

EvoLve theme by Blogatize  •  Powered by WordPress グランヒル大阪の健康スマイル通信