2018年10月に米国アリゾナ州スコッツデールで開催された統合腫瘍学会・第15回国際会議において、毎日のAHCC摂取が宿主免疫系を支持し、子宮頚部細胞診でヒトパピローマウイルス(HPV)陽性であった女性のHPV感染を除去する可能性があることが報告されました。
この報告はテキサス大学ヘルスサイエンスセンターマクガバン医学校のジュディス・スミス博士が発表したもので、この試験は12ヶ月間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験で、女性50名の被験者をAHCC摂取群(25名)とプラセボ摂取群(25名)とに分けて行われました。
一次評価の段階で46名の被験者が試験を完了していて、6ヶ月目におけるAHCC摂取群の被験者の58.8%が「感染なし」と判定されましたが、プラセボ摂取群では3ヶ月目、6ヶ月目、9ヶ月目、12ヶ月目でのいずれの検査でも「感染なし」と判定されたのは1名だけでした。
ジュディス・スミス博士によると、「現状ではハイリスク型HPVの持続感染に対し、標準治療が確立されていない。そのため、我々は10年以上をかけて系統的な研究を続けてきました。まず研究室での基礎研究と2つのパイロット試験で論理的根拠を確立し、現在進行中の第Ⅱ相臨床試験でAHCCが宿主の免疫系を支持してHPV感染を除去するか否かを評価しています。我々のゴールは、安全かつ臨床医学的に評価されたHPV持続感染根絶へのアプローチを、女性たちに提供することだ。」とコメントしています。
高リスク型ヒトパピローマウイルスが持続感染すると、がん化のリスクが高まるといわれており、子宮頸がん患者の90%以上から高リスク型ヒトパピローマウイルスが検出されています。
HPVワクチンについては、日本では2009年12月に承認され、2013年4月より定期摂取が始まりましたが、あくまでも予防ワクチンであり、その治療効果は確認されておらず、副作用の課題もあることから、今回の研究成果は朗報と言えるのはないでようか。
今後の研究の進捗に大いに期待が膨らみます。