乳がんの増大や転移に、生命維持に重要な呼吸器や循環器などの活動をコントロールする自律神経が深く関与しているとする研究結果を、岡山大や国立がん研究センターなどのチームが英科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」(電子版)で発表した。抗がん剤など一般的な治療が効かないがんに対し、遺伝子治療などで自律神経を操作して、がんを抑制する新しい治療法の開発が期待される。
乳がん患者29人のがんの組織を顕微鏡で調べたところ、がん組織に交感神経が入り込んでいることを発見した。また、再発しないで生存する割合が、がん組織内の交感神経の密度が高い患者は、低い患者と比べて少なかった。
さらに、がん組織に入り込んだ交感神経の遺伝子を操作し、この交感神経を除去したところ、乳がんと転移がんを抑制できた。
(2019年7月9日 毎日新聞)