冬といえば寒さとともに気になるのが、空気の乾燥です。
天気予報で耳にする「乾燥注意報」は、元々は火災の危険性を知らせるためのものですが、最近では乾燥による健康への対策の目安にされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、冬には特に気になる空気の乾燥対策についてご紹介します。
★冬は、湿度以上に空気が乾燥している?
空気の乾燥を示す指標として、「湿度」を気にされる方も多いのではないでしょうか。
実は、一般的に天気予報や湿度計で表示される湿度は、「相対湿度」と呼ばれるもので、空気の中に含むことのできる水分量のうち、どれくらいの水分を保持しているかの割合を示しています。空気は、暖かくなると水分をたくさん保持できますが、冷たくなると保持できる水分量が減ります。
一方で、空気中の1立方メートルあたりに水分そのものが何グラム含まれているかを示す、絶対湿度というものがあります。
東京都の年間の湿度推移を見ると、冬は相対湿度だけでなく絶対湿度も下がり、気温の低下によって水分が空気中に保持されにくくなる上に、空気中の水分そのものがかなり少なくなってしまいます。
★空気の乾燥で気になるのは風邪などの感染症
空気が乾燥すると、口や鼻の呼吸器系の粘膜が乾燥し、風邪などの感染に対する防御機能が低下してしまう為、風邪やインフルエンザなどのウイルスが体内に入りやすくなります。
冬に風邪やインフルエンザが流行するのは、病原菌が増えているだけでなく、空気の乾燥によって、体から蒸散する水分量が増えるため体内の水分量が低下し、免疫力などの低下が引き起こされることも、大きな原因の1つと言えます。
さらに、肌については、よく「保湿が大事」と言われているように、水分量が10%以下になるとドライスキンといわれる状態になり、肌荒れ、かゆみの原因となります。
★乾燥対策は室内の湿度を上げること
一般的に感染症の原因となるインフルエンザや風邪などのウイルスは、湿度40%以上になると死滅率が上がり、湿度50%以上になると激減すると言われていますので、室内の湿度を40~60%にしておくことで、感染の予防になります。
●加湿器
室内の加湿として効果的なのは、やはり加湿器です。加湿器を置く場所は、結露にならないよう窓際を避け、
パソコンやテレビなどの精密機器からも離れたところが適切です。加湿器は常に水を使用するため、雑菌やカビが繁殖しやすい環境です。タンクやフィルターなどのお手入れはこまめに行ないましょう。
●洗濯物や濡れタオルを干す
洗濯物や濡れタオルを干すと水分が自然と蒸発し、穏やかに室内を加湿できます。洗濯物を干す際は、部屋干し臭の少ない洗剤や柔軟剤を使い、空気がこもらないよう干す量を少なくしたり、扇風機で風をあてたりしてください。
●水の入ったコップを置く
水の入ったコップを置くと、水分が蒸発するのでコップ周辺を加湿できます。
広い空間の加湿はできないので、職場やホテルのデスクにおいて活用しましょう。
●観葉植物を置く
植物には「蒸散」と言って、根から吸い上げた水分を水蒸気として外に出す働きがあります。
蒸散が起こると、空気中の水分が増えるので、結果として加湿につながります。
グリーンは眺めるだけで癒されるので、癒し効果を兼ねて飾ってみてください。