慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、長期にわたって主にタバコの煙などに含まれる有害物質の吸入により、肺が持続的な炎症をおこし、呼吸機能の低下などをおこした状態の事を指しますが、中高年の方が発症することが多く、国内では500万人を超える方が羅患していると言われています。
しかし、実際に治療を受けている患者さんの数は、約20万人程度とも言われ、症状が現れても、COPDに対する理解が不十分で、治療を受けていない方が多いことが大きな問題となっています。
一方で、COPDによる死亡者数は年々増加傾向にあり、WHO(世界保健機構)の報告では、世界の死因の
第3位の疾患であり、国内においても死亡原因の10位となっています。
肺炎や肺がんなどの重篤な肺疾患を引き起こす危険性もあるため、早期発見と早期治療の重要性が指摘されています。
COPDの患者さんは、肺ではマクロファージや好中球などの炎症細胞の増加、肺胞壁の破壊による肺気腫が見られますが、現在の治療方法は、悪化した肺機能を改善させるために「気管支拡張剤」の吸入を行うに留まり、根本的な治療には至っていません。
そのような背景の中、大阪市立大学大学院医学研究科の呼吸器内科学の研究グループが、喫煙暴露によりCOPDを発症するマウスを用いて、麹菌発酵大豆イソフラボンのCOPDに対する効果を確認したところ、炎症細胞の減少や肺気腫の抑制効果が確認され、その結果が国際科学雑誌「Nutrients」のオンラインに掲載されました。
この結果は、麹菌発酵大豆イソフラボンがCOPDの予防効果を果たすことが期待されるもので、今後の治療確立に向けても重要な知見のひとつと考えられます。
この研究に携わった大阪市立大学大学院医学研究科の浅井一久准教授は「現時点のCOPD治療は、気管支拡張薬等を用いて残存している肺を有効に活用する治療に留まっています。今回の結果は、COPDの予防効果を示したものであり、COPDでお困りの患者さんに新たな治療法をお届けできるように研究を重ねてまいります」とコメントされています。
但し慢性閉塞性肺疾患(COPD)が治る、あるいは必ず予防できることを保証するものではございませんので、
予めご了承ください。