昔から縁起物とされ、ひな祭りに食べる習慣もあるはまぐりは、5月の産卵期を前にした3~4月頃が、
たっぷり栄養を蓄えるため、旬の季節です。今回はそんなはまぐりの健康成分についてご紹介します。
★はまぐりってどんな貝?
日本では、はまぐりは古くから食べられており、縄文時代の地層からも、はまぐりの貝殻が出土しています。
名前の由来は浜にあって形が栗に似ていて味も濃厚なことから、「はまぐり」と名づけられたと言われています。
はまぐりは二枚貝の中でも両方の貝がぴったりと合うことから、夫婦円満や相性がピッタリの人と幸せな人生を送れるようにという願いが込められ、昔から縁起の良い食べ物として重宝されてきました。
平安時代以降、並べた貝の中からぴったりと合うものを選ぶ、今でいうトランプの神経衰弱のようなゲームにも
使われたりしていました。
日本人にとっては馴染み深い食材ですが、近年では国産のはまぐりは少なく、輸入品が多くなっているものの、
味はそれほど遜色なく、春の味覚としてスーパーなどでもよく見かけます。
★はまぐりは漢方として使われていた?!
はまぐりの漢方での名称は、「文蛤(ブンコウ)」、「花蛤(カコウ)」と言います。
体内における熱寒性を表す生薬の薬性「五気」は、解熱作用などを持つと言われる「寒」、生薬の味である「五味」のなかでは、「甘」と「鹹(かん)」を持つ食材として、古来から使われてきました。
喉の渇きや寝汗は、体内に熱が停滞することで起こります。はまぐりを煮て食べることで、これらの症状を良くする働きがあるとされています。
また、はまぐりに含まれるタウリンの解毒作用と、肝機能を高める作用、血圧やコレステロールを下げる作用や滋養強壮が期待できるため、昔から漢方として使われてきたのではないでしょうか。
★はまぐりには健康に役立つ成分がたっぷり
漢方として使われるほど栄養たっぷりなはまぐりには、ヘモグロビンを増加させるため貧血予防に良いとされるビタミンB12や鉄分、葉酸など女性にも嬉しい成分が多く含まれています。
さらに、粘膜を保護するとされるビタミンB2や、骨粗しょう症の予防にもなるカルシウム、味覚障害の予防に大切な亜鉛など、日ごろの健康維持に必要な成分も多く含まれています。
また、体内の老廃物を体外に排出し、疲労回復、不眠症などの改善に効果が期待できるアスパラギン酸や、脳の神経細胞の栄養素となる成分の一つで脳の活性化を促しストレスを除去するグルタミン酸も含まれています。
このように、はまぐりには貧血予防や肥満予防、骨や歯の発育・形成、味覚障害の予防など、普段の生活で気になることが多い点に対しての健康成分だけでなく、栄養ドリンクに含まれる成分としても知られるタウリンや
アスパラギン酸なども摂ることができます。
★はまぐりを美味しく栄養たっぷりに食べるコツ
はまぐりといえば、お吸い物や焼きはまぐり、バター醤油で炒めたり、鍋の具材やパスタと合わせるなど、色々な調理方法で美味しくいただけます。
特に手軽なのは焼きはまぐりですね。自宅で焼きはまぐりを作る場合は、ホットプレートや魚焼き用グリル、フライパンなどで手軽にできます。
はまぐりを焼く際には、貝の身から出る出汁が美味しいですが、焼き始めてすぐに出てくる水分は、貝が吸い込んでいるただの海水ですので、貝の口が開き始めたときには一度中の水分を捨てると、その後に出てくる出汁をしっかりと味わうことができます。
また、はまぐりは火が当たっている方とは反対側の貝に身をつけますので、最初の水分を出した後は上下をひっくり返して焼くと、貝が完全に開いたときに、身が下の貝に付きやすくなりますよ。
ちょうど今が旬で味も栄養面も堪能できるはまぐり。濃厚な春の味覚を楽しんでみてはいかがでしょうか。