婦人科外来を受診する女性は、月経痛や子宮内膜症による痛みを訴える場合が多く、その症状を軽減することは、患者のQOL改善に大いに役立つものといえます。
そこで、この度は月経痛や子宮内膜症改善効果について、臨床的に評価された2つのサプリメント素材をご紹介いたします。
まず一つ目は、麹菌発酵アグリコン型大豆イソフラボンについてです。
ニチモウバイオティックス㈱と京都府立医科大学産婦人科学教室との共同研究によるパイロット試験によって、子宮内膜症の月経痛改善などの有効性が確認され、この度学会発表されました。
この試験では、子宮内膜症疼痛を訴える性成熟期女性17名を対象に、アグリコン型麹菌発酵大豆胚芽抽出物30mg/日を4ヶ月投与し、服用前および服用後1ヶ月おきに月経痛などについてVisual Analogue Scale(VAS)で評価したほか、子宮内膜症性囊胞径を測定したところ、月経痛は服用2ヵ月後から有意に改善し、子宮内膜症性囊胞径は服用3ヵ月後から有意に縮小したことがわかりました。
二つ目は、ピクノジェノールについてです。
ピクノジェノールは、フランス海岸松の樹皮から抽出された、抗酸化作用や抗炎症作用で古くから知られている成分ですが、国内においても金沢大学医学部の鈴木氏らが、子宮内膜症、重度の月経痛などの患者39名を対象としたパイロット試験により、子宮内膜症による月経痛、重度の月経痛のいずれの患者に対しても70%以上に改善効果があったことを1999年に発表しています。
その後の研究により、痛みや炎症を抑えるメカニズムとして、プロスタグランジンを抑制することによるCox-1酵素、Cox-2酵素を大幅に抑制することや、炎症のスイッチであるNF-кBを抑制することなどが関与していることがわかりました。
そこで鈴木氏らは、さらに国内の4つの病院による月経痛で悩む116名を対象に二重盲検法による臨床試験を行い、月経による腹痛の緩和と鎮痛剤の使用量の減少、月経痛を感じる期間の短縮などを確認し、その結果を2007年に発表しています。
これらのサプリメント素材は、子宮内膜症や月経痛で悩んでいる多くの女性に対して明るい希望をもたらすものと考えられます。