ミトコンドリアは、エネルギーの産生にかかわっている重要な細胞内小器官のひとつであることは今さら言うまでもありません。
しかし、「それ以外にどのような働きをしているのか」と聞かれるとすぐに答えられる先生はそれほど多くないかも知れません。
最近の研究の中で、ミトコンドリアと病気との関係も徐々に明らかにされてきており、ミトコンドリアの研究の第一人者である日本医科大学名誉教授の太田成男先生は「病気とはミトコンドリアが足りなくなった状態」とまでおっしゃっています。
ミトコンドリアの不足と病気との関係は、糖尿病などの生活習慣病やがんをはじめ、老化に至るまで幅広く知られており、細胞内のミトコンドリアを増やすと同時に活性化することが健康維持に大切であることが一般に受け入れられるようになってきました。
そんな中で、大阪大学大学院医学系研究科教授の森下竜一先生は、免疫力の増強とミトコンドリア活性化について研究を重ねられ、「免疫力を高める鍵はミトコンドリアの活性化にある」とおっしゃっており、CoQ10の摂取も大切であることを強調されています。
さらに、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構は、科学誌「Nature Communications」に「ウイルス感染時の応答を制御するミトコンドリアの新しい機能」について発表しています。
この研究では、ミトコンドリアの外膜上に存在する膜タンパク質「Mffタンパク質」が、
ミトコンドリア上でエネルギー状態を検知して、ウイルスに対する応答の強さを調節していることがわかりました。
また、2021年2月に長崎大学が発表した研究結果によると、ミトコンドリアで作られるアミノ酸の1種である「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」が新型コロナウイルスに対して強い感染抑制効果を有することがわかり、すでに小規模の臨床試験も行われています。
以上のように、ミトコンドリアは「免疫力の増強」や「抗ウイルス作用」にも関与していることもわかってきました。
まさに「ミトコンドリア」は、健康維持の中心的役割を担っていると言っても過言ではありません。