昨年からのコロナ禍で外に出歩く機会が減ったり、自宅にいる時間が増えたことで、あまり足を動かさない時間が増えて足のだるさやむくみを感じたりしていませんか?
実は、何気ない日常に感じる足のだるさやむくみの原因が、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)という病気の場合もあり、見逃せないサインである可能性もあります。
★下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)の原因とは
下肢静脈瘤とは、脚の静脈に血液が溜まり、溜まった血液で静脈の一部が瘤(こぶ)のようにふくらむ病気です。
静脈の役割は、心臓から押し出された血液を再び心臓に戻すことです。脚の場合は心臓よりも下にあるため、動脈から流れてきた血液を、ふくらはぎの筋肉がポンプとなって再び心臓へと押し上げます。この時、押し上げられた血液が逆流しないよう、静脈にはハの字の形をした逆流防止弁がいくつも備わっています。この弁に強い静脈圧がかかり続けると弁が壊れ、血液の逆流が慢性的に起こると、血液が静脈に溜まってしまいます。
★むくみ、だるさ、皮膚の炎症につながる
「血管がボコボコしている」「青く浮き上がって見える」など、下肢静脈瘤には外見上の特徴があるため、見た目の変化から下肢静脈瘤に気づく人が多いようです。その他に、脚のむくみや痛み、だるい、重い、疲れるなどの不快な症状や、夜中に脚がつるといったこともあります。
また、悪化すると皮膚が炎症を起こし、皮膚の発赤やかゆみ、痛みを伴うようになり、重症例では潰瘍ができたりする場合もあり、その状態に合わせて圧迫治療や手術を行うこともあります。
★立ち仕事や妊娠後にも要注意
脚の静脈に負担がかかる状態が続くと、下肢静脈瘤を発症しやすくなります。長時間の立ち仕事では、長い間強い静脈圧がかかり続けるため要注意です。また、妊娠出産で骨盤が圧迫されると下半身の静脈の流れが滞りやすくなるため、妊娠出産経験者にも多く発症します。
その他にも、座りっぱなしの人、運動不足の人、さらに加齢によっても下肢静脈瘤が発症しやすくなります。
また、両親のうちどちらかが下肢静脈瘤なら40%、2人ともの場合は90%が下肢静脈瘤を発症するというデータもあります。
★手軽にできる予防法は脚と全身の血流アップ
血液の流れが滞ると、脚の静脈に負担がかかり、症状の悪化へと繋がります。
そのため、血流をよくする生活を心がけることが、予防・症状改善のポイントになります。
●ふくらはぎエクササイズ
長時間立ちっぱなし、座りっぱなしの時は、ふくらはぎの筋肉を動かすだけでも血液のうっ滞が改善されます。立っている時は時々つま先立ちをしたり、座っている時はつま先とかかとを交互に10回程度上げるような軽い運動を行うと良いでしょう。
●土踏まずを刺激
足裏には「足底静脈叢(そくていじょうみゃくそう)」という、静脈血のたまる部位があります。
階段のへりや青竹を踏んで土踏まずを刺激することで、ポンプ機能を助ける効果があります。
それにより血液のうっ滞が改善されます。
●水分補給
水分不足はドロドロ血を招き、血栓形成の原因になります。特にこれからの暑い季節は、水分を失いやすくなりますので、水分をこまめに補給するようにしましょう。
以前、ふくらはぎ健康法という本が流行しましたが、ふくらはぎをはじめ、血流を良くすることは代謝のアップや冷えの解消など健康面で良いことばかりです。この機会に、全身の血流を意識してみてはいかがでしょうか。