夏は暑いので、入浴はシャワーのみという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、日本人には馴染み深い、湯船につかるというのは健康面で大いに役立つ習慣です。
ちょっと敬遠しがちになる夏の入浴ですが、夏だからこそ湯船につかって健康を維持しましょう。
★湯船につかることは健康に良い!
●温熱効果
皮膚の毛細血管や皮下の血管が広がることで、全身の血流が促進されます。
そして自律神経の副交感神経系が優位になり、筋肉や関節組織が弛緩する効果やリラックス効果が得られます。
また、体温が上がることで体内のHSP(ヒートショックプロテイン)が多く産生され、免疫力アップ、抗ストレス、睡眠の改善、脳の老化予防、抗疲労など、健康面で様々な良い作用が期待できます。
●静水圧効果
動かない水のなかで身体に働く水の圧力のことを「静水圧」と言います。お風呂に入ると「ふぅ?」と息がもれることがあります。これは、お腹やお尻が水圧で縮む静水圧によるもので、全身への穏やかなマッサージ効果を生みます。
この作用により、手足の血管や腹部の内臓などが刺激を受け、全身の血行改善やむくみ解消などに役立ちます。
●浮力の作用
湯船に浸かったときに身体が軽く感じられるのが浮力です。水深により影響は異なりますが、首まで浸かった場合は体重が約10分の1になるとされています。全身を支えていた関節や筋肉が重みから解放され、浮遊感によるリラックス効果も期待できます。
★疲労回復には40℃のお湯で10~15分、全身浴するのがオススメ!
40℃と聞くと、人によっては「ちょっとぬるい」と感じるかもしれない温度ですが、年齢や体力に関係なく、のぼせや体調不良を起こしにくいというメリットが報告されています。
静水圧と浮力の作用による効果は、肩までつかることで得られやすくなります。温熱効果も高まり、血流アップにも効果的です。ただし、肩までお湯につかると息苦しさを感じる場合は無理せず半身浴をしてください。
10~15分程度湯船につかれば、十分に体は温まり、血液の循環も良くなります。顔や額が汗ばむくらいが、体が温まっている目安の一つです。なお、心臓や血管、呼吸器に疾患がある場合は、少しでも息苦しさを感じたら湯船から出て休むようにしてください。
★夏でも快適に湯船につかるコツとは?
「40℃は熱い。夏はもう少しぬるめのお湯につかりたい」と思う人も少なくないかもしれません。
そういう場合は、体温よりやや高めの38℃前後のお湯にゆっくり20分程度つかるのも方法の一つです。
その際にお勧めしたいのが、泡が出る「炭酸ガス系」の入浴剤です。炭酸ガスには血管を拡張させ、血流量を増やす作用があるため、お湯の温度が低くても効率よく血流を改善する効果が期待できます。
「湯船につかった方が良いことは分かっているけれど、疲れてお湯を張るのも面倒」という日もあるかもしれません。そういう場合は、バスタブや大きめの洗面器などにくるぶしがつかる程度までお湯をためて、足湯をしながらシャワーを浴びるのがお勧めです。足湯でも、シャワーだけでは得られない温熱効果によって、疲れがより取れやすくなります。
ただし、汗を多くかく夏の入浴は、特に熱中症に気を付ける必要があります。入浴前後それぞれにコップ1~2杯の水分補給と、なるべく浴室内の温度が上がり過ぎないよう、換気をしっかりと行ってください。
また、なんとなく頭がぼーっとしてきたり、眠気を感じたりしてきたときには軽い熱中症にかかっている可能性があります。こうしたサインに気が付いたらすぐに浴室から出て水分を補給し、体を休めましょう。
夏は疲れが溜まりやすい時季です。疲労回復につながる入浴を行って夏を元気に過ごしましょう。