~真剣に「運動不足」について考え直さないと…、運動と健康の関係~
皆さんは「マイオカイン」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
実は私は、つい先日にこの言葉を知りました(勉強不足でスミマセン)。
しかし、「マイオカイン」について調べてみると、私にとってすごく興味深い内容がずらりと並び、これからの研究成果次第では、一般の方々にもよく知られる「健康キーワード」のひとつになるような印象を受けました。
さて、前置きが長くなりましたが、「マイオカイン」とは、「筋」を意味する「Myo」と「作動物質」を意味する「Kine」の用語で、骨格筋から分泌されるホルモンの総称です。
現在は約30種類ほど見つかっているそうですが、その働きがわかっているものはまだごく一部で、ほとんどが研究途上の段階とのこと。
しかし、その一部だけでも知ると「なるほど」と納得させられるもので、今後の研究に期待が高まります。
現在、健康への働きがわかっている主なマイオカインは「インターロイキン―6」、「アディポネクチン」、「SPARC」、「アイリシン」、「FGF-21」などです。
ここでちょっと勉強されている方は、「えっ?」と思われるかも知れません。
例えば、「アディポネクチン」って脂肪細胞や肝臓から分泌される肥満を解消し糖尿病や脂質異常からくる動脈硬化を防ぐ作用があるホルモンではなかったか・・?と。
そうなんです、その通りなんですが、実は最近になって筋肉からも分泌されることがわかってきたんです。
「インターロイキン―6」も免疫細胞から分泌される免疫調整に関わるサイトカインのひとつということはよく知られていましたが、これも最近になって筋肉から分泌されて肥満や糖尿病を防ぐ作用があることがわかってきました。
その他にも、大腸がんや認知症などの様々な疾患とマイオカインとの関係も明らかになってきています。
運動すると健康に良いということは議論の余地がないほどよく受け入れられていますが、筋肉を動かす運動の何がどのように体に作用しているのかということまではっきりとわかっていない部分も多くありました。
しかし、マイオカインの研究が進むにつれて、運動が健康に良いという理由を理論的に示すことができるようにもなってきました。
高齢になるに伴い筋肉の量が減少する「サルコペニア」はご存知のことと思いますが、「サルコペニア」を防ぐために無理のない運動をすることも大切です。
なぜなら、筋肉量の減少と認知症とのかかわりがわかっており、運動をすることで分泌されるマイオカイン(IGF-1、BDNFなど)が脳の神経細胞を活性化し認知症を予防する効果があることがわかってきました。
このように様々な病気の予防・改善と関係しているマイオカインを効率よく分泌させるために、「たかが運動」ではなく「されど運動」で、しっかりと運動の大切さを認識してまいりたいと思います。
製薬メーカーもマイオカインを医薬品にすることにも熱い視線を送っているようですが、それはまだまだ研究が進み、もっと詳細が明らかにされてくるのを待たなければなりません。それより、運動することによって自分で分泌するマイオカインを増やしていく事であれば、すぐにでもできることかと思われます。
そういう自分も歩くより車に乗ることが多く、運動不足になりがちですが、私みたいな方は、「ゆっくりスクワット」も良いそうです。椅子に座ったり、何かにつかまりながらでも、とにかく「ゆっくりスクワットをする」などのように、できる範囲で行うようにするのも健康維持のひとつに良いことだと思います。
さらに、どうやらこの「マイオカイン」は、長寿との関係もあるそうですが、長寿との関係といえば「ミトコンドリア」が思い浮かびます。
「ミトコンドリア」と健康の関係も明らかにされてきましたが、運動をすることで筋肉量の減少を抑え、ミトコンドリアの数の減少を抑えることも大切で、やはり運動は健康維持と深い関係があるのですね。