雲南紅豆杉と言えば、約2億年前から生き残っている地球に現存する最古の樹木と言われています。
その紅豆杉属に抗がん作用があることが1956年にルーカスによって発見され、さらに研究が重ねられ1971年にヴァニが紅豆杉から抗がん物質「タキソール」の分離に成功しました。
しかし、紅豆杉に含まれる「タキソール」はごくわずかで、紅豆杉そのものが入手困難であることから合成方法が模索され、半合成の医薬品「タキソール」として、国内でも1997年に認可されました。
その後、世界100ヶ国以上で使用されているスタンダードな抗がん剤となりました。さらに、フランスでは化学合成に成功し「タキソテール」として、世界に供給されていることはご存知のとおりです。
単一の有効成分として使用される抗がん剤は、副作用が強く現れることがありますが、紅豆杉には「タキソール」以外にも多くの天然成分が含まれていることから抗がん剤のような副作用の報告はございません。
紅豆杉の国内における抗がん作用の研究は、主に金沢医科大学の研究グループが実施していますが、兵庫県立尼崎病院をはじめ、臨床現場での良い結果が多数報告されています。
その「紅豆杉」について、抗がん作用以外の作用として、富山医科薬科大学の研究で糖尿病に対する有用性が確認されています。
さらに最近では、脳内のタウたんぱく質の変性を抑える作用や脳血流改善作用があることがわかり、認知機能の予防と改善についても効果が期待されています。
また、パーキンソン病の原因物質として知られているα-シヌクレインなどの増加を抑える働きも確認されました。
このように「紅豆杉」は、がん患者さんだけでなく、幅広く健康維持に有用であると考えられます。
今後のますますの研究成果に期待したいところです。