気管支喘息は、慢性的な気道炎症により喘鳴や呼吸困難などの症状を発症し、喘息発作時には気管支拡張剤やステロイド剤の使用などで発作を抑えるという対症療法が主流で、根本的な治療方法がまだ確立されていません。
そのような中、大阪市立大学大学院呼吸器内科学の研究グループが、麹菌大豆発酵培養物が、喘息による気道炎症を抑制する効果があることを動物モデルを用いた研究で明らかにし、昨年9月に「Nutrience」オンライン版に論文掲載されました。
大豆の摂取とアレルギー疾患との関連は疫学的に報告されており、大豆成分と抗アレルギー作用は何らかの関係があることはすでに知られています。また、麹菌大豆発酵培養物(商品名;イムバランス)を用いた研究でも、小児アトピー性皮膚炎をはじめ、アレルギー疾患に対する有用性や抗炎症作用が確認されていました。
この度、大阪市立大学医学部呼吸器内科学の研究グループが、喘息モデルマウスにイムバランスを添加した飼料を与え、気道炎症に及ぼす影響を調査した結果、イムバランス投与群で気管支肺胞洗浄液中の好酸球数が有意に減少し、気管支周辺の炎症や粘液産生が抑制されていることを発見し、さらには好酸球性炎症を誘導する気管支肺胞洗浄液中のTh2サイトカインや血清IgEの発現も有意に抑制していることを確認しました。
これらのことより、イムバランスは気管支喘息の患者さんの治療の補助として有用であると考えられます。
この研究に携わった大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学の浅井一久准教授は、現在の喘息治療に追加する副作用の少ない補完的な対処方法としてイムバランスの摂取は勧められる結果であり、さらにメカニズムを検討して創薬にもつなげていきたい考えを示しています。今後のさらなる研究成果の報告が期待されるところです。