皆様は「薬物乱用頭痛」という言葉を耳にしたことはございますでしょうか?
あまり聞き慣れない言葉かと思いますが、頭痛時に鎮痛剤の使用が過多になると、だんだんと効き目が弱くなり、「薬を服用しても症状が治まりにくい頭痛」のことを「薬物乱用頭痛」と言います。
なんだか嘘のようなホントの話ですが、「薬物乱用頭痛」を抱えている方は、国内ではなんと120~240万人もいると推測されています。
「薬物乱用頭痛」の判断基準は、ひと月のうち半分以上が頭痛に悩まされ、ひと月に10日以上は鎮痛剤を服用し、それが3ヶ月以上継続していれば「薬物乱用頭痛」と考えても良いと言われています。
月に数回程度の鎮痛剤の使用ならば何ら問題ございませんが、月に10日以上の使用となると脳や神経が痛みに敏感になり、少しの刺激でも頭痛がおこりやすくなると考えられています。
そのため、鎮痛剤を服用しても頭痛が治まらず、さらに薬の回数や量が増えてくるという悪循環に陥ってしまいます。
もし、ご自身で「薬物乱用頭痛」ではないかと思いあたることがあれば、市販のくすりの乱用にならないうちに、早めに専門医の受診をお勧めします。
やむを得ず頭痛時に市販薬を選ぶ場合は、まずは単一成分のものを選ぶのが良いと思われます。
最近では複数の鎮痛成分が配合された市販医薬品も多数販売されており、その方が効果は現れやすいと思われがちですが、複数の成分を配合している薬を継続して服用すると、単一成分の服用と比べて「薬物乱用頭痛」をきたしやすいことがわかっているからです。
頭痛薬だけでなく、例えば睡眠導入薬や精神安定剤なども、継続して使用しているとだんだんと依存性が高くなり、その薬がなければ不安になるということも出てきます。
やはり薬は必要な時だけ必要な量を服用するようにして、漠然と薬の服用を継続することは避けたいものですね。
最近では、ポリファーマシー(多剤併用)という言葉も当たり前のように使われるようになってきましたが、いわゆる「薬漬け」から脱出して、臓器に負担をかけない健康維持のためにも服用薬は必要最低限に抑えていきたいものです。
薬は減らせば良いというものでもありません。治療上絶対に必要な薬もあります。
自分勝手に薬を減らすことの無いようにして、薬の種類を減らしたいと思った時は、かかりつけ医師や、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師に気軽にご相談されるのが良いと思います。