今年も厳しい暑さが続く季節になってきました。例年、これからしばらくは熱帯夜となることも多くなり、毎日の睡眠にも大きな影響を与える時季です。
日中の暑さで体力を奪われる上に、睡眠が不十分だと疲労が蓄積し、夏バテや体調不良の原因になることもあります。今回は寝苦しい夜でもできるだけ疲労回復につなげられる睡眠を取るアイデアをご紹介します。
★ぐっすり眠るとは、どういうこと?!
睡眠時間や睡眠の質が不十分で、睡眠への不満を感じやすい夏の季節ですが、そもそも良い睡眠とはどういうことなのでしょうか。「しっかり寝てスカッと起きる!」と言ってしまえばそれまでですが、少し詳しく見てみましょう。
人の睡眠には、大きく分けて浅い「レム睡眠」と深い「ノンレム睡眠」の2つがあります。体は休んでいるものの脳は活発に動いているのがレム睡眠、脳も体も深い休息状態にあるのがノンレム睡眠です。ノンレム睡眠はさらに3段階に分かれ、このうちの3段階目が「深睡眠」と呼ばれる、最も深い眠りです。
睡眠時間は30代以上であれば6時間半から7時間半程度あると理想的ですが、そのなかでも最も大事なのが最初の4時間で、この4時間に2回以上深睡眠が訪れると、大半の疲れが取れると言われています。深睡眠をとるためには自律神経の状態やホルモンバランスが大切であり、入眠に向けてその条件を整えていく必要があります。
★ぐっすり眠るためには睡眠前の行動が大切です!
快適な入眠には、自然な眠りを誘う「メラトニン」というホルモンがしっかり分泌されることが不可欠です。メラトニンは強い光によって分泌が抑制されるため、昼間は少なく、日没以降に増えます。
メラトニンは「セロトニン」という別のホルモンが原料になって作られます。そして、セロトニンは、朝日を浴びると分泌されるという性質があります。朝日を浴びるとセロトニンが分泌され、そこからメラトニンが作られ、メラトニンの働きで日没以降徐々に眠くなり、すんなり入眠できるという、良い睡眠サイクルになります。
しかし、夕方以降に強い光を浴び続けることは、快適な入眠の妨げになります。特に、蛍光灯などの青白い光はメラトニンを抑制する作用が強いため、夜は室内の照明を白熱灯など、温かい色の光に変えると良いでしょう。
また、パソコンやスマホから出るブルーライトにもメラトニンを抑制する働きがあり、さらにはスマホなどを見続けることで自律神経が交感神経優位になって脳が興奮状態になるため、スムーズな入眠の妨げとなってしまいます。睡眠の質を高めるなら、パソコンやスマホは寝る1時間前までには見るのを止めるようにしましょう。
★寝る時のひと工夫で寝苦しさが軽減するかも?!
夏の睡眠にとって一番大切な暑さ対策で重要になるのが、エアコンの使い方です。
暑さが厳しい時期は、睡眠時でもエアコンを切らずに一晩中使用することも勧められています。
しかし、エアコンの風が苦手な方や、一晩中使用するのに抵抗があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その場合は、タイマーを使って3~6時間程度で切れるようにしておくと、入眠時から睡眠が深くなるころまでは過ごしやすい気温が保たれるので、暑さのために途中に起きてしまうことを少なくすることができます。
あるいは、エアコンは弱めにして、扇風機を使う方法もあります。その場合は、表面に太い血管の通っている足首あたりに風を当てると深部体温が下がりやすく寝入りが良くなります。
ただし、あまり長時間ずっと風が当たり続けないように気を付けましょう。
また、最近では通気性が良かったり、冷感タイプのシーツや枕などもありますので、そういったものを利用したり、風通しが良く速乾性のあるパジャマの利用や、ハッカなどひんやりとした感覚のある室内用フレグランスなどを使うことでも夏の睡眠をサポートしてくれます。