ビタミンB2と言えば、もう100年以上前に発見されている誰もが知っている水溶性ビタミンのひとつです。そんな身近なビタミンB2ですが、この度神戸大学バイオシグナル総合研究センターの研究グループにより、ビタミンB2がミトコンドリアを活性化することにより細胞老化を抑制するという新たな機能性について報告されて話題になっています。
なぜ、このことが話題になっているかといえば、細胞老化抑制のメカニズムが、「ミトコンドリアを活性化することによる」というところにあります。
ミトコンドリアと言えば、私たちが生きていくうえで、体内で消費するエネルギーの95%以上を作り出している細胞内小器官であることから、エネルギーの生産工場としてよく知られています。
しかし、ミトコンドリアの機能はそれだけでなく、最近の研究の中でミトコンドリアの新たな機能性について次々と明らかにされてきています。
例えば、ミトコンドリアの機能低下と疾患のかかわりについて、パーキンソン病、認知症、心臓病、糖尿病などの他、がんとの関係も明らかになっています。
がんとの関わりについて焦点をあてると、健康な人でも毎日数千個のがん細胞が発生していますが、例えばNK細胞などの体内に備わっている免疫機能の働きにより排除されることもありますが、がん細胞の自滅を誘導する「アポトーシス」を誘導して排除するというメカニズムもあります。
アポトーシス誘導には様々な因子が関わっていますが、そのひとつにミトコンドリアが関与しています。
即ち、がん細胞という異常な細胞の細胞分裂を妨げようとするために、ミトコンドリアからチトクロムCという物質を放出してアポトーシスを誘導し、がん細胞を消滅させています。
このようにミトコンドリアの活性化は、私たちの健康と切っても切り離せない関係にありますが、ミトコンドリアは加齢とともに減少していくことがわかっており、老化現象とも深い関りがあるため、健康長寿を保っていくためには、体内のミトコンドリアを増やしていくことや活性化してくことが重要になります。
そんな中で、身近なビタミンB2のミトコンドリア機能低下を改善するメカニズムについて、国際学術雑誌に掲載されたことが専門家の間で注目を集めています。
たかがビタミンB2、されどビタミンB2ですね。
今後も、ミトコンドリアと健康との関わりについての研究がますます盛んに行われ、新たな知見が次々に得られてくることが期待されます。