暑いこの時季になると、熱中症での救急搬送については毎日のように報道されるようになってきますが、熱中症予防には特に気をつけたいものです。
なんと言っても熱中症は、致死的疾患で、特に注意しなければならない高齢者は体温の調節がうまくできなかったり、脱水予防のために水分補給をすすめても「のどが渇いていること」がわからない場合もあり、意外にも屋内で熱中症によって倒れるケースも少なくありません。
熱中症を発症してしまった場合は、身体を冷やすことや点滴治療が最優先ですが、予防対策としては、脱水予防効果が期待できる「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬も有効と考えられています。
「五苓散」は、脱水予防だけではなく、熱中症から起こる「頭痛」などに対しても効果を発揮すると考えられています。
また、熱中症からの回復期や暑熱障害(いわゆる暑気あたり)による全身倦怠感や食欲の低下、下痢などには「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」が良いと言われています。
さらに、暑い夏の夜の睡眠障害も疲労を蓄積してしまう原因にもなりますが、睡眠障害対策には、まずは「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」や「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」がお勧めです。
「黄連解毒湯」は、脳が興奮状態にあるときに落ち着かせてくれます。「酸棗仁湯」は、仕事や介護などで疲れて眠れないときに有効です。これらの漢方薬を併用する方法もあります。
これらの漢方薬でも睡眠障害が改善しない場合は、寝る前に「加味帰脾湯(かみきひとう)」を試してみるのも良いかも知れません。加味帰脾湯は、疲れを取り除き、朝の目覚めを良くする効果があると言われています。
このように暑い夏を乗り切るためには、まずは水分・ミネラル成分の補給をしっかり行い、気温が高い日には無理な外出を避け、室内は適度に冷房を入れて、しっかりと睡眠をとることが最も大切なことですが、その上で、熱中症予防対策として漢方薬をうまく取り入れることも良いかも知れません。
暑い夏を乗り切るために、自分にあった方法を、かかりつけ医師と日ごろからよく相談しておくことも大切なことかも知れません。