季節の変わり目、特に夏から秋にかけて気温が下がる時季になると、くしゃみや鼻水が止まらなくなることはありませんか?その症状は、ひょっとすると寒暖差アレルギーかもしれません。
実は、体感する寒暖差によって引き起こされる寒暖差アレルギーというものがあります。
今回は、特に今の時季に気を付けたい寒暖差アレルギーについてご紹介します。
★寒暖差アレルギーとは?
寒暖差アレルギーは、アレルギーと言っても花粉症などとは違い特定の原因物質はありません。
一般に寒暖差アレルギーと言われているのは、医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれ、温度差が刺激となって鼻の粘膜の血管が広がり、粘膜が腫れることで引き起こされる症状と考えられていて、温度差が7℃以上になると発症しやすいと言われています。
寒暖差によって、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が起こることは分かっていますが、その原因はまだはっきりとは分かっていません。しかし、その一因として自律神経のバランスが影響していると考えられています。
自律神経は交感神経と副交感神経がバランスを取ることで機能しています。体が活発に活動したり緊張状態になると交感神経優位となり血管が収縮し血圧や心拍数を上昇させ、リラックスした状態になると副交感神経優位となり、血管が拡張し血圧が低下して心拍数も減少します。
体の様々な機能は自律神経によって調節されていて、鼻の粘膜にある血管の収縮や拡張も自律神経によって通常は適切に働くようにコントロールされています。
しかし激しい寒暖差による刺激を受け続けると自律神経のバランスが乱れ、鼻の粘膜の血管の収縮・拡張の調節がうまくいかなくなると、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの鼻炎の症状が表れやすくなると考えられています。
★寒暖差アレルギーを防ぐには
寒暖差アレルギーの予防には、大きな温度変化を感じないようにすることと、自律神経のバランスを整えておくことが大切です。
大きな温度変化を感じにくいようにするには、その場所の温度に応じて衣服で調整するのが最も手軽です。
また、首は大きな血管が多く通っていて体温の維持にはとても大切なので、これからの時季、寒くなってきたらマフラーや襟の高いアウターなどで首元を暖かくしておくことも大切です。
皮膚表面近くの太い血管は手首や足首にも通っているので、手袋や靴下などでこの部分をしっかりガードすると、効率よく血流を促進することができます。
さらに、筋肉量が減ると体内で作られる熱量が少なくなって体温調節がしづらくなりますので、筋肉量を維持するためになるべく体を動かすことも心がけましょう。
自律神経を整えるためには、規則正しい食生活とリラックスできる時間を作ることが何より大切です。
栄養バランスの整った食事を心がけ、ストレスを溜めず、質の良い睡眠を十分に取るようにしましょう。
また、しっかり40℃前後の湯船にゆっくりつかる入浴は、体温維持と自律神経の両方に良いですので、温かくてリラックスできる入浴で体調を整えましょう。
★症状が出たらどうするの?
症状が軽い場合は短時間で症状が止まったり、市販の点鼻薬などの鼻炎薬で対処できますが、症状がひどい場合や長引く場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
寒暖差アレルギーの症状は、風邪やアレルギー性鼻炎のように、ウイルスやアレルギー物質によって引き起こされるわけではないので、症状を和らげる対症療法が中心となります。
アレルギー性鼻炎の治療でも使われる抗ヒスタミン剤や点鼻薬などを使って症状を和らげますが、それでも症状が治まらない場合は、レーザー治療を行う場合もあります。
しかしこうした治療によって根本的に寒暖差アレルギーが治るわけではないので、日ごろから自律神経を整え、体温を下げないようにして、寒暖差アレルギーを予防することが大切です。