「AHCCは肝星細胞におけるサイトグロビン発現を誘導し
肝線維化を抑制する」
大阪公立大学大学院 医学研究科機能細胞形態学 宇留島隼人ら
肝星細胞は正常肝においては非活性型として存在していますが、肝障害時には活性化し肝再生に寄与します。一方、ウイルス性肝炎やアルコール性肝炎などの肝疾患時には肝星細胞の持続的活性化によりコラーゲンの過剰蓄積に伴う肝線維化が生じることがわかっています。肝線維化の終末像である肝硬変は肝がんの重要なリスクファクターであり、予後不良の疾患であることから、肝星細胞活性を介した肝線維化予防が臨床上重要であると考えられます。
AHCCはこれまでにも様々な肝保護作用が報告されていますが、肝線維化予防に対する効果を調べた報告はまだないため、AHCCの肝星細胞活性化に対する影響と肝線維化進展予防効果について研究を行いました。
その結果、マウスにAHCCを投与することによって肝星細胞からのコラーゲン産生が抑制され、肝線維化が抑制されました。
また、ヒト肝星細胞株HHsteC細胞にAHCCを添加したところ、肝星細胞活性化抑制タンパクの発現が増強しました。
これらのことから、AHCCは、肝星細胞の活性化を抑制し、肝線維化進展を抑制することに寄与している可能性が示唆されました。
「認知症者の認知機能とBPSDへの
ETAS50(アスパラガス抽出物)の効果について」
~二重盲検クロスオーバー試験~
日本医療大学 認知症研究所 銭本隆行ら
アスパラガス抽出物を飲用することにより、ヒートショックプロテイン70(HSP70)が誘導され、抗ストレス作用、自律神経調節作用、睡眠の質改善作用などに効果が期待され、認知症にも効果がある可能性が報告されていることをうけて、パイロット試験を行った結果、アスパラガス抽出物は認知機能そのものの改善に効果があり、さらにBPSD軽減にも効果があることが推測されたため、この度は二重盲検クロスオーバー試験を行う事により詳細に検証しました。
その結果、精神症状の「興奮」と「うつ」が有意に抑制され、「無関心」については有意傾向が見られました。
これらの結果より、アスパラガス抽出物は認知症の脳機能障害の改善に対して一定の効果があると考えられます。
これらの発表の他にも、例えば神戸大学大学院医学研究科外科学講座の柳本泰明らによる「膵癌化学療法における味覚障害に対するAHCCの有効性に関する二重盲検プラセボ対照無作為化試験」についてや、杏林大学医学部公衆衛生学教室白土健らによるアスパラガス抽出物(ETAS50)がCOVID-19の重症炎症を予防することによる重症化予防効果についての報告など、多くの研究結果が発表されています。