アニメ「ポパイ」のパワーの源や、鉄分が豊富な野菜として第一に思い浮かぶのが「ほうれん草」です。
現在はハウス栽培などで年中出回っていますが、本来の旬は冬で、まさに今頃が美味しい時季です。
今月は、ほうれん草の健康成分についてご紹介します。
★ほうれん草とはどんな野菜でしょうか?
冬の緑黄色野菜の代表格でもあるほうれん草は、江戸時代に日本に伝えられました。この時中国から伝わったのは根元の赤い東洋種でアクが少なくて葉が柔らかい品種です。一方で葉がしっかりしていて炒め物などに向いている西洋種はアクが強く最初はあまり好まれませんでしたが、東洋種との交配などによって食べやすく改良されたため、多くの人に食べられるようになり、生産も盛んになりました。
ほうれん草のアクはシュウ酸という成分で、カルシウムと結びつきやすい性質があります。体質によっては結石の原因になることもあるため、生食できるサラダほうれん草以外は、湯通しや水に浸けるなどのアク抜きをしてから食べるようにしましょう。
★ほうれん草といえば鉄分と葉酸?!
ポパイのパワーの源になるだけあって、ほうれん草は栄養価がとても高い野菜です。
ほうれん草に含まれる成分として、よく挙げられるのが鉄分です。
鉄分が不足すると、貧血、頭痛、疲労、筋力低下などにつながります。特に貧血の人にとってはたくさん摂りたい成分です。
ほうれん草には確かに多くの鉄分が含まれています。しかし、ほうれん草の鉄分は、吸収されにくい非ヘム鉄のため、吸収を助けるビタミンCやクエン酸、たんぱく質などと一緒に摂ることで効率的に吸収されるようになります。ビタミンCを多く含む他の野菜と一緒に食べたり、お酢の入ったドレッシングを使ったり、卵を使って調理することで、摂取効率をアップできます。
また、ほうれん草に含まれる成分としてよく知られる、葉酸という成分があります。胎児の発育をサポートすることから、妊婦の人が摂る成分というイメージもあるかもしれませんが、赤血球の形成を助けたり、細胞を作るのに必要なため、性別や年齢に関係なく不足しないように摂取したい成分です。
葉酸はほうれん草以外にも、レバーや海藻類、緑茶や枝豆、鶏卵など色々なものに含まれているため、極端に不足することはあまりありませんが、食事量が少なかったり、偏食で葉酸を含む食品をあまり食べていない場合は、少し意識して摂取した方が良い場合もあります。
★ほうれん草にはビタミンがたっぷり
ほうれん草に多く含まれるビタミン類は、βカロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC等があります。
βカロテンは抗酸化作用や免疫アップが期待できるほか、体内でビタミンAに変換されると皮膚や粘膜の健康を維持したり、美肌効果、体の発育促進、その他のビタミン類の効果を促進する働きがあります。
ビタミンB1は、疲労回復や神経・筋肉などの機能を維持したりする働きがあり、炭水化物(糖質)の代謝を促して体内に過剰に糖が残りにくくする働きがあります。
ビタミンB2は、脂肪を燃焼させ、エネルギー代謝や細胞の新陳代謝を促進し、健康な皮膚や髪、爪をつくるなど、発育や美容の点でも大切なビタミンです。
ビタミンCは、肌にハリを持たせたりシミを予防する美容効果や、粘膜の機能を改善したり免疫力を高めて風邪をひきにくくする効果、ストレスに対する抵抗力を高める効果など、様々な働きを持ちます。
冬は夏に比べてほうれん草に含まれるビタミンCの量が多く、粘膜強化や免疫力アップなどがさらに期待できるので、この時季の感染症対策のためにもビタミンCはしっかり摂っておきたい成分です。
ほうれん草には健康に良い成分がたくさん含まれています。旬となる冬の時季には甘みも栄養価も増えますので、ほうれん草のパワーで寒い冬を乗り越えましょう。