過去の「くすりの話」で、「大豆は偉い」、「乳酸菌は偉い」、「魚は偉い」、「緑茶は偉い」など「偉いシリーズ」として数々の話題を紹介してきました。
今回は、「偉いシリーズ」の仲間入りとして、さらに「コーヒーは偉い」をご紹介させて いただきます。
コーヒーと言えば、身近過ぎて「今さら・・・」と思われる方もいるかも知れませんが、ところがどっこい、これがまた最近注目されています。
但し、ご存知のとおりコーヒーにはカフェインが含まれているため、飲みすぎには注意しなければなりません。
多くても1日5杯までとして、食後の1杯を目安として1日3杯程度が適量と考えられています。
さて、コーヒーの健康効果として、まずはカフェインの「覚醒効果」によって頭をスッキリさせる効果や、「利尿作用」による老廃物排出効果、自律神経の働きを高める効果はよく知られていますが、その他にはなんと言っても香りによる「リラックス効果」、「ストレス解消効果」は言うまでもございません。
コーヒーに含まれる成分でカフェイン以外に最近注目を集めているのが「クロロゲン酸」というポリフェノールです。ポリフェノールと言えば、抗酸化作用が強く、活性酸素が引き金となる生活習慣病予防にも大いに役立つことが知られています。
例えばフランス人は油の多い食事を摂っているにもかかわらず心疾患での死亡率が低いのは、ポリフェノールが豊富に含まれている赤ワインを多く飲んでいるからであるという報告が話題となったことがあります。
また、赤ワインに含まれているポリフェノールの一種「レスベラトロール」が長寿遺伝子を活性化することについてNHKのテレビ番組でも紹介されたこともあり、一時は「レスベラトロール」含有のサプリメントが入手しにくいという時期もありました。
このようにポリフェノール類は健康に良いことは知られていますが、実は、コーヒーにも赤ワインに負けないぐらいポリフェノールを豊富に含んでいて、そのポリフェノールの名称が「クロロゲン酸」です。
ここで、「クロロゲン酸」の健康効果をいくつかご紹介します。
習慣的にコーヒーを飲む人は、飲まない人に比べて心臓病、脳卒中、呼吸器疾患による死亡リスクが低下するという国立がん研究センター予防研究グループの報告の他、クロロゲン酸は体内で代謝されてフェルラ酸という成分に変化しますが、フェルラ酸は、認知症予防・改善効果についてもよく知られています。
また、お茶で有名な伊藤園では、名古屋市立大学大学院医学研究科との共同研究で、マウスを用いた実験で、クロロゲン酸が記憶を司る脳の海馬に働きかけて、認知機能の低下を抑制するホルモンのひとつ「インスリン様成長因子-1」の産生を促進することにより、認知機能を改善することを報告しています。
その他、大腸がんや肝臓がんの予防、内臓脂肪蓄積抑制効果、肥満防止効果や、腸内細菌叢のバランスを改善するという報告などもされています。
このように身近なコーヒーにも健康増進効果が期待できそうですので、朝の目覚めのコーヒー1杯は、健康に良い習慣と言えるかも知れません。