厚生労働省の「生活習慣病予防のための健康情報サイト」e-ヘルスネットによれば、日本人、特に子どもたちや就労者の睡眠時間は世界で最も短いことが示されています。
とりわけ、働く女性が増加していることに加えて、家事や育児などにより男性よりも女性の方が寝不足状態にあるようです。
慢性的な睡眠不足は、日中の眠気や意欲低下、記憶力減退を引き起こすだけでなく、ホルモンの分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼすことがわかっています。
例えば、健康な方であってもたった二日間寝不足が続くだけで食欲を抑えるホルモンである「レプチン」の分泌が減少し、食欲を高めるホルモンである「グレリン」の分泌が亢進することがわかっており、食べ過ぎによる肥満を引き起こす可能性が高くなります。
実際に慢性的な寝不足状態にある方は、糖尿病や冠動脈疾患などの生活習慣病に罹りやすいことが明らかになっています。
また、交代勤務に従事している方は、体内時計と生活時計のずれにより脂肪を蓄積して分解を抑えるたんぱく質が発現し、肥満を誘発することも知られています。
交代勤務の他、何らかの要因で、習慣的に「質の悪い睡眠」が続いている方は、肥満だけでなく、様々な生活習慣病罹患のリスクが上がり、さらにうつ病などの精神疾患や認知症発症リスクを高め、かつ症状を悪化させる可能性がありますので、健康維持のために日常から生活習慣病予防のためにもしっかりと質の良い睡眠をとることが大切です。
なお、睡眠障害を放置すると健康を害する様々な状態を誘発しやすくなりますので、睡眠について気になる方は、早めに睡眠専門医師に相談されますことをお勧めいたします。