3月3日は、耳の日です。耳や聴力についての関心を高め、難聴や言語障害を持つ人たちの悩みを解決する機会にしたいという日本耳鼻咽喉科学会の提案で昭和31年に制定されました。
耳の健康を気にすることは多くないかもしれませんが、音を聞いたり平衡感覚を適切に維持するためにとても大切な器官です。今回は、耳の健康について考えてみましょう。
★気を付けたい耳の症状
耳の症状として感じやすいのは、「聞こえにくい」「耳鳴り」「耳が詰まったような感じ」などの症状ですが、その症状に思わぬ病気が隠れている場合もあります。耳に関する主な病気をご紹介します。
●突発性難聴
大人がかかる耳の病気の中で最も多く、注意を要するのが「突発性難聴」です。突然、片耳に難聴の症状が起こり、場合によっては、めまいを伴います。原因ははっきりわかっていませんが、ストレスや疲労によるものだと言われています。
発症後1週間~10日以内に、ステロイド薬の内服や点滴でなどの治療を開始すれば、治るか、症状が改善することが多いです。しかし治療を始めるのが遅くなると完治が難しくなるため、急に聞こえにくくなったと感じたら、なるべく1週間以内には耳鼻科を受診しましょう。
●ヘッドホン難聴
毎日のようにヘッドホンやイヤホンで大きな音を長時間聴くことで、徐々に音が聞こえにくくなっていくという症状です。
ここ数年で急増していて、WHO(世界保健機関)も警鐘を鳴らしています。
症状が進行すると治療が難しく、慢性的な難聴になってしまう場合もあるため、音量はほどほどにして長時間装着することのないように気を付けましょう。
またイヤホンを耳の奥まで入れようとしたり、窮屈に感じるほど耳にフィットした状態で使うと、皮膚を傷つけたり、雑菌が入ってしまうことによって鼓膜の手前にある外耳道に炎症が起こる場合もあります(外耳道炎)。
●中耳炎
中耳炎は鼓膜より内側の中耳腔に細菌やウイルスが感染して起こります。中耳炎と聞くと、子どもがかかるというイメージがあるかもしれませんが、大人がかかることもあります。
特に高齢者は鼓膜の奥から鼻へとつながる耳管が加齢で衰え、周りの壁から水がしみ出しやすくなるため発症することがあり、痛みは無いものの難聴の症状が出ます。
そして長い間治らずに悪化して「慢性中耳炎」になると、鼓膜の内側に膿がたまって鼓膜に孔があくこともあり、痛みや難聴、耳だれなどの症状が出ます。
★難聴には思わぬ原因も
難聴には、単に耳垢がつまっていただけというケースもあります。「耳垢栓塞(じこうせんそく)」といい、耳垢で完全に耳がふさがれることで、聞こえにくさや耳鳴り、耳閉感などが起こります。
耳垢は本来、自然と外に出るようになっており、耳掃除は不要です。しかし耳の穴と同じくらいの大きさがある綿棒でグリグリとすると、耳垢をさらに奥に押し込んでしまい、耳垢栓塞の原因となります。
耳掃除を行う場合は、竹製などの専用耳かきで3週間から1か月くらいに一度の頻度くらいにして、頻繁には行わないようにしましょう。また癖で耳の中を頻繁に触ると、外耳道が腫れて外耳道炎になってしまうこともあります。
★耳の健康を保つのに必要なことは
大きな音を長時間聞くいたりすると耳がダメージを受けて難聴になるリスクが高まります。
大きな音がする場所に長時間いる場合は耳栓を使って聞こえる音量を調節したり、静かな場所で休憩する時間を作るなどして、耳の負担を軽くしましょう。
イヤホンやヘッドホンで音楽を聴くときには、周りに漏れない程度の音量で、1時間に5分程度の休憩を挟みながら使用するようにしましょう。
また、突発性難聴やめまいの原因になるストレスや疲労を溜めないことも大切です。
リラックスした時間や睡眠をしっかりと取って、規則正しい生活習慣を心がけましょう。