九州大生体防御医学研究所の鈴木聡教授(腫瘍学)らは12日、皮膚がんの一種「皮膚外毛根鞘(がいもうこんしょう)がん」を抑制する遺伝子の一つが「MOB(モブ)1」であることを、大阪大との共同研究で突き止めたと発表した。治療法開発につながる可能性があり、米科学誌電子版に掲載されるという。
皮膚外毛根鞘がんは、毛穴の中の皮膚に起きる珍しいがんで、国内の年間発症数は100人から数百人とみられる。リンパ節に転移して亡くなることもあるが、これまで発症メカニズムが分かっていなかった。
研究チームは、MOB1が作り出すたんぱく質に、がんの発症を抑える酵素を活性化させる働きがあることに着目。MOB1の大半を取り除いたマウス37匹を観察したところ、すべて皮膚外毛根鞘がんを発症。また、同がんを発症した患者10人の細胞内を調べたところ、半数の患者はMOB1が作り出すたんぱく質の量が、非発症者より著しく少なかったという。
2012.11.13 読売新聞
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