肌の潤いを生み出し、関節の動きを滑らかにするヒアルロン酸を分解する遺伝子を、カネボウ化粧品と慶応大のチームが特定し、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。肌の老化防止や関節炎の治療に役立つ物質の開発につながる可能性がある。ヒアルロン酸の合成を巡っては、関節を覆う膜の中や皮膚で作られるなど仕組みが解明されてきた。しかし、美容で体に注入しても、効果が長続きしないといった課題があり、分解の仕組み解明が重要になっていた。
チームは、人間の皮膚にある2500以上の遺伝子を解析した。その結果、「KIAA1199」と呼ばれる遺伝子の働きを抑えると、ヒアルロン酸が分解されなくなることを発見した。また、関節リウマチや変形性関節症の患者では、通常より働きが約9倍も活発で、ヒアルロン酸が盛んに分解されていた。同社の吉田浩之主任研究員は「今後、加齢で遺伝子の働きが高まるのかどうかを調べたい」と話す。
(2013年3月24日 毎日新聞)
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