奈良県立医大などの研究グループが、血液中の一酸化窒素(NO)に、パーキンソン病の原因とされる神経細胞の異常を防ぐ作用があることを世界で初めて解明した。英科学雑誌「サイエンティフィックリポーツ」(電子版)に16日掲載された。
パーキンソン病は、細胞に不要なたんぱく質が蓄積することで、神経伝達物質のドーパミンを作る神経細胞が減少して起きる。手足の震えや動作の緩慢などの症状があり、患者は全国に14万人程度とされる。
たんぱく質の一つ「パーキン」が働かなくなると、不要なたんぱく質が分解できなくなり、パーキンソン病の発症につながると考えられている。研究グループは、パーキンがNOと結合すると活発に働くメカニズムを解明。実験ではパーキンにNOを3時間投与すると、機能が活性化して不要なたんぱく質の分解を促進し、神経細胞の保護につながった。一方、投与時間を倍にするとNOがパーキンの働きを弱くする物質に変化し、細胞機能障害を起こすことも分かった。
研究グループの小沢健太郎・奈良県立医大准教授(薬理学)は「NOを用いてパーキンソン病の症状を緩和できると考えている」と話している。
(2013年7月16日 毎日新聞)