山梨大医学部の中尾篤人教授(免疫学)らの研究グループは、花粉症やじんましんなどのアレルギー症状が夜や明け方に重くなる仕組みを解明したと発表した。症状を起こす免疫細胞にある「時計遺伝子」が関わっていることを突き止めた。中尾教授は「遺伝子に働きかけて症状を抑えるなど新たな治療薬の開発につながる」としている。9月23日付の米アレルギー臨床免疫学会誌(電子版)に発表した。
花粉症で鼻づまりやくしゃみなどの症状が午前5?6時に悪くなる「モーニングアタック」など、多くのアレルギー疾患は1日のサイクルで症状が変化する。ただ、詳しい仕組みは分かっていなかった。
中尾教授らは今回、目や鼻の粘膜などにあり、花粉など原因物質(アレルゲン)に反応して症状を起こす免疫細胞「マスト細胞」に着目。マスト細胞を含め、あらゆる細胞には昼夜などで血圧や内臓機能などを調節する「時計遺伝子」があり、この遺伝子が関わっていると推測した。
マウスのマスト細胞を使い、同細胞が放出する炎症物質「ヒスタミン」の量を測定。通常は特定の数時間に量が多くなるが、同細胞内の時計遺伝子の働きを妨げると量が一定になり、時計遺伝子が症状の時間的変化を引き起こしていることが判明した。
中尾教授によると、現在のアレルギー治療薬はヒスタミンの作用を抑える対症療法が中心で、薬が効かない患者もいる。今回の研究成果を基に、時計遺伝子に直接働きかけて症状を緩和する新たな点鼻薬などを作れる可能性があるという。
今後はヒトの細胞でも実験を行う予定で、同教授は「花粉症や食物アレルギーで悩む人は増えており、効果的な薬の開発に結びつけたい」と話している。
(2013年9月30日 毎日新聞)
