まだまだ厳しい寒さが続いています。寒い日に食べたくなるのが、鍋料理やおでんなど温かくてホッとする料理ではないでしょうか。そんなおでんなどの煮物や、鍋料理の定番の野菜といえば大根です。
温かい料理だけでなく、大根おろしなどとして様々な料理に使われる大根は、まさに冬の今が旬です。
今回は昔からのお馴染み野菜、大根の健康成分についてご紹介します。
(1)弱った胃腸に最適な成分「ジアスターゼ」
まずご紹介したい大根に含まれる特徴的な成分は、ジアスターゼ(アミラーゼ)です。
このジアスターゼはでんぷん分解酵素で、でんぷんの消化を助ける働きがあるので、胃もたれや胃酸過多など胃の調子を整える作用があり、胃腸薬の成分にもなっています。
さらに、二日酔いや胸やけにも効果的だといわれていますので、お酒を飲んだあとに食べておきたい野菜です。
ただし、このジアスターゼは加熱に弱いという性質があります。そのため、ジアスターゼの作用をより得たい場合は、生で食べることのできる大根おろしが最適です。二日酔いの時などには、大根おろしを朝ごはんのメニューに加えてみてはいかがでしょうか。
(2)ピリっと辛い成分「イソチオシアネート」は健康維持にぜひ摂りたい
大根に含まれているもう1つの特徴的な成分として、イソチオシアネートがあります。
イソチオシアネートは、わさびにも含まれる辛味成分で、大根の辛味はこの成分によるものです。
イソチオシアネートには、活性酸素を除去して身体のサビ付き対策となる抗酸化作用のほか、ピロリ菌などの細菌を弱める作用や、血液をサラサラにする作用で血液の流れを良くして血栓を予防することなど、生活習慣病予防にも効果を発揮する成分です。
また、「大根ダイエット」というのもあるそうですが、このイソチオシアネートには基礎代謝をアップさせるという作用もありますので、運動不足や年齢とともに筋力が衰えてきた場合などの体質改善にも良い成分だと言えます。
さらに、アメリカで行われた実験から異常化した細胞の増殖を抑える働きがあることがわかり、がん予防に効果的な成分とも言われています。
(3)大根の栄養は「皮」と「葉」にもたっぷり
大根には、ビタミン類もバランス良く含まれています。ビタミンCのほか、ビタミンB1やB2、葉酸は大根の根の部分(お馴染みの白い部分)に含まれています。
その中でも、特徴的なのがビタミンCやビタミンPなどです。ビタミンPは毛細血管を強くするといわれており、
冷え性の方などはぜひ摂りたい成分です。さらにビタミンPは、壊れやすいビタミンCを守る働きがあり、一緒に摂ることでビタミンCの働きを助けてくれます。このビタミンPは大根の皮に多く含まれていますので、大根おろしや煮物にするときなどはなるべく皮を剥かずに食べるほうが、ビタミンPを効率よく摂取できます。
そして、普段あまり食べることがない大根の葉はビタミンC、ビタミンK、β-カロチン、カルシウム、葉緑素、ミネラルなど非常に多くの成分が含まれ、栄養価の高い部分です。
栄養価の高い野菜として有名なほうれん草と比較しても、ビタミンCは約5倍、鉄分は約1.5倍、カルシウムは約5倍も含まれていますので、普段の食事に取り入れたい食材です。
最近は大根の葉を食べることも少なくなってきていますが、漬物にしたりみじん切りにした葉をさっと湯通ししておひたしのようにして食べたり、味噌汁に入れるなど、色々食べ方があります。
冬の大根はみずみずしくて柔らかく、甘みが強くなるといわれます。栄養たっぷりで捨てるところの無い大根を旬の時期に積極的に食べてみてはいかがでしょうか。