加齢にともなう骨量の減少を抑える遺伝子を、東京医科歯科大の野田政樹教授(分子薬理学)らの研究グループなどがマウスの実験で見つけた。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の新たな治療法の開発につながる可能性があるという。もともとある遺伝子を使うので副作用の少ない薬が期待される。米科学アカデミー紀要(電子版)で発表した。
骨粗鬆症は「RANKL(ランクル)」というたんぱく質の働きで、骨を吸収する破骨(はこつ)細胞の働きを促進して起こるとされるが、年をとると骨量が減る仕組みはよくわかっていなかった。
グループは、「Cnot(シーノット)3」という遺伝子がこのたんぱく質の受け皿になる受容体の増加を抑えることを確認した。この遺伝子が減ると破骨細胞が活発になり、骨量も減ると考えられる。高齢のマウスは生後4カ月のマウスに比べ、この遺伝子が半分以下だった。この遺伝子を一部なくした高齢マウスの骨量は、正常の高齢マウスに比べほぼ半減していた。
骨粗鬆症の患者は国内に約1300万人いるとされる。骨がもろくなって背骨や太ももの付け根の骨が折れやすくなり、寝たきりにもつながる。
(2014年2月5日 朝日新聞)