高齢者における認知症の患者数は、すでに高齢者の10人に1人といわれています。
さらに年々患者数は増加しており、2020年には325万人に達すると予想されています。
誰もが当事者になる可能性がある認知症とどう向き合うべきでしょうか。
ここで改めて「認知症」について考えてみたいと思います。
「認知症」とは、認識したり、考えたり、記憶したり、判断する力が障害を受け、社会生活に支障をきたす状態になったことを言いますが、アルツハイマー型が認知症の約7割を占めています。
よく見られる症状は、「記憶が無くなる」、「徘徊を行う」、「怒りっぽくなる」、「一日に何度も食事をする」、「妄想が多くなる」などです。
高齢になれば、「最近、物忘れがひどいな…」と感じることは自然現象ですが、通常の「老化現象」に比べてそのスピードが異常に早くなると「認知症」と判断されます。
ところで、認知症は「予防」や「治療」はできるのでしょうか?
残念ながら現在の医学では、認知症の予防や、進行を遅らせることはできても治すことはできません。
日常的な予防方法として、「チャレンジ精神を持つこと」、「興味のあることに関心や趣味をもって社会生活に積極的に参加すること」、「家族などと楽しく過ごすこと」、「指先を使う習慣をもつこと」、「よく噛んで食事をすること」、「規則正しい生活をすること」などがあります。
また、アルツハイマーの患者さんは、共通して脳内の神経伝達物質のひとつ「アセチルコリン」の伝達がうまくいっていないことが知られていますので、アセチルコリンの材料となるPOホスファチジルコリンとDLホスファチジルコリン含有サプリメントの摂取がアルツハイマー型認知症の予防や軽度認知症の症状緩和に有効であることを兵庫医科大学の認知症治療薬開発プロジェクトリーダーの西崎教授が発表しています。
その他、アルツハイマー型認知症は、脳の海馬へのアミロイドβというたんぱく質の蓄積と関係することがわかっていますので、アミロイドβ蓄積を抑制する「ヤマブシ茸抽出物」も注目されています。
今後の国の施策として2015年以降に「初期集中支援チーム」の導入を目指しています。
これは保健師や作業療法士が認知症発症初期の高齢者宅を訪問し、本人や家族の相談に応じ、生活環境を整え、発症初期から本人や家族を支える制度です。
残念ながらまだまだ認知症患者やそのご家族に対する国の支援体制が整っていないのが現状ですが、認知症と社会との関係は時代に応じて変化していますので、正確な情報を得ていくことも大切なことではないでしょうか。