最サプリメントの抗腫瘍効果について、どの遺伝子に関与しているのかということを検証した試験はまだ多くありません。
アルゼンチン国立科学研究所のガブリエラ・バローグ博士らは、2011年にD-フラクションが乳がん細胞のアポトーシス誘導作用にかかわるBAK-1遺伝子の発現を高めていることを発表しています。
バローグ博士らはさらに研究を重ねて、この度BAK-1遺伝子以外の腫瘍増殖抑制に関する遺伝子を調べた結果が発表されました。
この度、発表された結果によれば、
1、アポトーシス誘導遺伝子の発現
アポトーシス誘導遺伝子として知られているBAK-1遺伝子の他に、BCLAF1、
RASSF2、FADD、SPARCなどの遺伝子の発現を高めていることがわかりました。
2、がん細胞増殖抑制遺伝子の発現・がん細胞増殖遺伝子の抑制
がん細胞の増殖を抑制し、発現が低いとがんの再発期間が短いと考えられているp27/Kip1遺伝子の発現を高めました。
また、がん細胞の増殖を抑制するRBBP4やTGF-β、SPARC遺伝子の発現を高めました。
さらに、がん細胞の増殖を誘導するICAM-3遺伝子の発現を抑制していることもわかりました。
3、がん細胞の転移・増殖抑制遺伝子の発現
がん細胞の進行・増殖抑制に関与するITGA9及びITGA2遺伝子の発現を高めました。また、がん細胞の転移抑制に関するMTSS1遺伝子の発現を高めました。
4、抗がん剤への反応に関与する遺伝子について
ABCG2遺伝子は、抗がん剤の多剤抵抗性に深く関わっていると考えられていますが、D-フラクションは乳がん細胞内のABCG2遺伝子の発現を減少させました。
また、トリプルネガティブ乳がんの発症に深い関わりがあるSPARC遺伝子 の発現を高めています。
これらのことからD-フラクションは、乳がん細胞に対する抗がん剤への反応を高めることが推測されます。
その他にも、腫瘍抑制に関する遺伝子や痛みの緩和に関する遺伝子などの発現を確認し
ています。
サプリメントにおける抗腫瘍効果について、免疫活性の立場からの報告は多数ありま
すが、遺伝子発現の立場から検証された報告は非常に貴重な研究と考えられます。
今後、ますますの研究成果の発表を期待したいものです。