今回の薬の話では、「蛋白質摂取と健康の関係」についてお話したいと思います。
蛋白質の構成成分は、アミノ酸です。アミノ酸といえば、美容や健康に欠かせない成分としてご存知の方も多いことと思います。
さて、日ごろから運動をして筋肉を鍛えている方は、「高齢になっても若く見える」と感じたことはないでしょうか?
これは、活発に動いていることでエネルギッシュなイメージも加わることもありますが、筋肉細胞はエネルギーを産生したり、身体の機能を維持していく上でも重要な働きをしていますので、筋肉を鍛えることは若さを保つ上でも重要です。
年を重ねてくるとどうしても筋肉量が低下してきますが、そのまま放置すれば転倒することもあり、それをきっかけに骨折して寝たきりになってしまうこともありますので、筋肉量を減少させないように工夫することが大切です。
それでは筋肉量の減少を防ぐためには、どうすればよいのでしょうか?
そのひとつは、「適度な運動をすること」ということはいうまでもなく、ほとんどの方が理解されていると思います。
しかし、わかっていてもなかなか実行できないのが「運動」です。私も、3日坊主どころか、1日坊主の繰り返しではありますが、運動することによって身体の機能が目覚めていくというイメージを持つとわかりやすいと思います。
高血圧症や糖尿病などのいわゆる生活習慣病の予防・改善にも運動は不可欠です。
さらに、筋肉の材料にもなる蛋白質をしっかり摂取することも大切です。
身体が小さくなっていく高齢者では、蛋白質の摂取を抑えたほうが良いと誤解している方が多いようですが、蛋白質は、体の組織を構成する成分ということだけではなく、酵素やホルモンとして代謝を調節したりする生命維持に不可欠な物質です。
厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準」(2010年版)を見ると、70歳以上の男性の1日の蛋白質摂取推奨量は60gであり、これは成長期の12歳以上の男性と同じ量になります。女性でも、12歳~17歳の1日の蛋白質摂取推奨量が55gであるのに対して、70歳以上は50gでほぼ同量になっています。
高齢者の蛋白質推奨摂取量を90g程度と考える専門家もいるほどです。
また、単に摂取するだけではなく、摂取した蛋白質を有効に利用するためには、一度にたくさん摂取するのではなく、1日3食に分けて食べることや運動後すぐに摂取することを心がけたほうが効率が良いことがわかっています。
高齢になっても病気に負けず、元気を維持するために、適度な蛋白質摂取を心がけたいものです。