九州大大学院理学研究院の小柴琢己准教授(分子細胞生物学)らの研究グループは、インフルエンザウイルスが細胞に侵入した後につくるタンパク質によって免疫機能が弱まり症状が悪化する仕組みを突き止め、20日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。
小柴准教授は「タンパク質の働きを抑えることができれば、ウイルスに感染しても症状が悪化しないようにする効果が期待できる」と話した。
研究グループは、インフルエンザウイルスがつくるタンパク質「PB1-F2」の大きさの違いに着目。多くの高病原性(H5N1型)ウイルスがつくる大型のPB1-F2がミトコンドリアに運ばれ、内部に蓄積することで、ミトコンドリアの免疫機能が低下することが分かった。
一方、低病原性(H1N1型)ウイルスがつくるPB1-F2の大半は小型。ミトコンドリアには運ばれず、免疫機能は低下しなかった。
(2014年8月20日 産経新聞)