腎不全の悪化を食い止めることに重要な働きをするたんぱく質をマウスの実験で突き止めたと、重井医学研究所(岡山市)などの研究チームが7日、米科学誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」電子版に発表する。腎臓病の新たな治療方法の開発が期待できるという。
日本透析医学会によると、国内の腎不全などによる慢性透析患者数は、2013年12月現在約31万4000人で、県内は約4700人。腎臓病が進んで慢性的な腎不全になると、人工透析を受け続けるか、腎移植が必要になる。
チームは、脊髄形成などに関係する「Sfrp1」というたんぱく質に着目。大人のマウスで、二つある腎臓につながる尿管の片方を縛り、人為的に腎不全の状態にすると、7日目にはSfrp1が正常なマウスの2倍以上に増えた。
また、体内でSfrp1を生成できないマウスを作り、同様に腎不全の状態にした場合、症状が重くなった。この結果、腎不全が起きるとSfrp1が作られ、腎臓細胞の修復に関与していると結論づけた。
同研究所の松山誠・主任研究員(分子生物学)は「人にも同様のたんぱく質がある。腎臓にだけ働き、Sfrp1を増やす治療薬を開発できれば、腎不全の進行を遅らせ、透析患者を減らせる可能性がある」としている。
(2014年11月8日 読売新聞)