心臓から分泌されるホルモンが、がんの転移を防ぐことが分かり、肺がんの手術の際に投与する臨床研究を近く9施設で始めると国立循環器病研究センター(大阪府)が24日、発表した。センターによると、ホルモンが、転移の経路となる血管に作用して転移を防ぐ仕組み。こうした臨床研究は世界初。
同センター研究所の寒川賢治所長らによると、9施設は大阪大や北海道大、山形大、東京大、神戸大の各病院などで、対象は手術を受ける肺がん患者500人。半数に手術直前から3日間投与し、2年後の再発率を比較する。
ホルモンは心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)で、肺がん手術の際に不整脈などを防ぐためANPを投与すると、がんの再発率が低いことを発見。今回、炎症が起きると血管内の壁に多くできる「Eセレクチン」というタンパク質をANPが抑え、がん細胞が血管壁にくっついて血管外に出て転移するのを防いでいると明らかにした。
(2015年2月24日 産経新聞)