春陽麗和(しゅんようれいわ)の季節を迎えましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
今回は、春の穏やかな陽射しについ油断しがちな、日光アレルギーとも言われる「光線過敏症」についてお話いたします。
「光線過敏症」は、日ごろあまり聞き慣れない言葉と思いますが、毎年4月から5月にかけて増えるのが特徴で、健康な人では問題の無い日光や紫外線の量でも皮膚が赤くなる、ブツブツができる、腫れて水ぶくれができる、かゆみが生じるなどの症状を伴います。
日焼けは、ある程度以上の紫外線量を浴びることで誰にでも起こりうるものですが、「光線過敏症」は、健康な人では問題の無い日光や紫外線の量でも敏感に反応するという違いがあります。
「光線過敏症」で最も多いのが「薬剤性光線過敏症」と言われています。
「薬剤性光線過敏症」には二つのタイプがあります。
(1)光接触皮膚炎
塗り薬や貼り薬などの外用剤を用いた部位に日光が当たって発生する皮膚炎です。
近年では、非ステロイド系消炎鎮痛外用薬のケトプロフェン配合貼付剤(テープ剤やパップ剤)によるものがよく知られています。
このケトプロフェン貼付剤による光線過敏症は、貼付部位を越えて皮疹が生じることもありますので、注意が必要です。
(2)光線過敏型薬疹
内服薬を服用後に日光が当たった部分の皮膚に発疹ができます。
原因となる薬剤は、たくさんありますので注意しなければなりません。
特に最近では、ヒドロクロロチアジドによる症状が頻発しているようです。
もし、症状が出てしまった場合、原因と思われる薬剤を中止して、日光を遮断すれば通常は約2週間くらいで症状は治まります。
治療方法は、一般にステロイド系薬剤などの抗炎症薬が用いられますが、もっとも大切な事は根本的原因である日光や紫外線を避けることです。
あまり知られていない「光線過敏症」ですが、見逃してしまうと治りにくくなるケースもあり要注意です。
原因の分からない湿疹、強いかゆみの出た時は、早めに専門医に受診して適切な診断と治療を受けることが大切です。