大阪医科大(大阪府高槻市)に中性子線を使う新しいがんの放射線治療「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の拠点施設ができる。大阪医科大が中心になって財団法人を立ち上げ、新年度に着工。ほかの大学の技術も採り入れ、2019年の治療開始を目指す。
BNCTは、がん細胞にだけ集まる専用のホウ素薬剤を患者の体内に点滴で入れ、中性子線によって核反応を起こしてがん細胞を壊す治療法。正常な細胞と入り交じり切除が難しいがんに有効とされる。
計画では大阪医科大のキャンパス内に専用の医療センターを建て、中性子線を発生させる加速器や検査施設を置く。医療分野を成長戦略の柱に据える大阪府が、目玉事業として先端技術の連携を図る。臨床試験をしている京都大原子炉実験所(大阪府熊取町)が治療技術を担い、ホウ素薬剤の開発は大阪府立大が中心となる。BNCTの治療施設は、東京の国立がん研究センターや福島県の総合南東北病院でも準備を進めている。
(2015年3月24日 朝日新聞)